第1009話 天之御の戦い

そう意気込む天之御の前に侵攻してくる兵器が現れる、ブエルスのレーダーで確認は出来ていたものの、明らかに他の箇所より兵器の数が多く、その数は少なくとも他のエリアの倍はありそうである。

だが天之御は数の多さに怯む様な事はない、寧ろこの状況で進んでこの箇所の迎撃を買って出ているのである。


「転移妖術の行方を伝えている時間が無かったとはいえ、僕が一番多い場所に向かったと聞いたら皆、特に空狐は怒るかな……

と、今はそんな事気にしてる場合じゃない!!」


そう軽口を叩きつつも天之御は交戦体制を取り、此方から打って出ると言わんばかりに兵器に接近しての一蹴りで兵器を次々と粉砕していく。

それに気付いた兵器は連携して反撃体制を取ろうとするが天之御の攻撃はその鋤を与えず、更に次々と兵器を破壊していく。

だがその直後、侵攻してくる兵器の増援が現れ、遠距離からレーザーで攻撃してくる。


「増援部隊……だけど他の熱源はブエルスでは確認出来なかった。

だとするとこの周辺で作り出されたか、或いは遠方から転移してきたってところか……この先への侵攻は兵器の製作者にとってそれだけ重要な事なのか、それともそう思わせる為の陽動か……」


レーザーを回避しつつ天之御はそう呟き、更に


「魔王妖術……純白の閃光!!」


と言って白く眩い光を放ち、その光にあたった兵器全てを真っ二つに両断する。


「破壊した兵器に他と違うような特徴は見られない……だけどこの動き方はこれまでに無いパターンだ、これを送り込んできたのはブントとは又違うの……?」


天之御が内心でそう思った直後、更に兵器の増援が現れる。


「考えるのは後回しだね!!魔王妖術……漆黒の終焉!!」


そう叫んだ天之御は両手に漆黒の球体を出現させ、それを兵器の集団に向けて投げつける。

するとその漆黒の球体は大きさを増し、更に色も濃くなって純黒と言える変貌を遂げ、途中の兵器を内部に吸収しながら奥へと進んでいく。

そしてその球体が通り過ぎ去った後、兵器は全て球体に吸い込まれて消滅していた。


「あまり時間はかけていられない、早く他の皆の所に向かわないと行けないんだから」


天之御はそう呟くと転移妖術を発動させ、速やかにブエルスへと帰還する。

そして天之御の転移が終了したとほぼ時を同じくして星峰、涙名もブエルスへと戻ってくる。


「星峰、涙名、君達はもう戻ってきたのか……」

「そういう天之御だって数の割には早いじゃない、流石は魔王と言った所なのかしら?」


帰還した星峰に問いかける天之御に対し、星峰は少し皮肉った物言いをする。

天之御が一番数が多い所に向かったのに気付いているのだろうか?

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