第1004話 魔鏡が示す物

だが今度の攻撃は兵器から放たれた物ではない、兵器から放たれた攻撃があたった場所から音が響いてきたのである。


「狐妖術……白銀の魔鏡!!」


何処からか聞こえてきた空狐の声と共に再び響いた攻撃音の後、その場に居た兵器に次々と攻撃が当たり破壊されていく。

その攻撃元を確認するとそこには先程の声の通り、白銀の膜が存在していた。

そしてその膜が消えていくとその中から空狐が現れる。


「星峰からこの妖術を教えて貰って居なかったら危なかったわね……だけど、兵器の殲滅は出来た。

続く第二波の進行もない、これで……」


空狐はそう告げると周囲を見渡し、敵の増援が出てこない事を確認する。

そして確認を終えると


「さて、敵を全滅させたのだから何時までもここに居る訳には行かないわね、けどここから戻るには一旦街に出るしか無いか」


と呟く。

この呟きから分かる様に彼女も転移妖術を用いる事は出来ないのである。

仕方なくその場から歩いて街に向かおうとしようとした際、突如として転移妖術の紋章が出現する。


「これは……殿下、これを使って戻ってこいって言うことなのかしらね?

これだけを出現させたという事はつまり、他の所も同様に終わっているということなのかしら?」


空狐は呟きながらその紋章に向かって足を進め、潜って何処かへと移動する。

その移動先は空狐の予想通りブエルスの謁見の間であった、そこに辿り着くと空狐は


「やっぱり……ね、それに殿下だけでなく他にも何人か戻ってきてる」


と内心で呟く。


~空狐の回想終わり~


「それは分かったけど、今の戦いで何を感じ取ったの?」


空狐の回想を聴き終えた涙名が空狐にそう問いかけると空狐は


「あら、肝心な所を失念していたわね……

さっき話したように私は兵器の攻撃を白銀の魔鏡で受け止めた。

その時にレーザーも受け止めたのだけど、そのレーザーから感じたの、ブントの物とは全く異なる悪意のような物を」

「悪意のようなもの……それだけだと抽象的すぎる気もするね。

空狐を疑う訳ではないけど……」

「ええ、私自身そう思っています、なので近い物を上げるとすると妖術や魔術に込める力に似ているような、そんな感じです」


と会話を続ける。

それを効いた天之御は


「魔力や妖力に近い悪意……つまり実際に物質に干渉する力を持った悪意って事か……そんな物を仮に扱える存在が居るとするなら、それは……」

「ええ、殿下も……いえ、ここにいる全員が既にその可能性は感じていると思います」


と空狐の発言を補足し、空狐もそれに同意する。

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