第1002話 過去からの救世主

更に其の勢いのまま翼の妖力を爆発させ、其の爆発に兵器を巻き込んで全ての兵器を破壊する。


「ふう……又あの言葉に助けられたな……二度も同じ言葉に助けられるなんて、やっぱり殿下は凄いな……」


戦いを終えた八咫は嘗てかけられた言葉に結果として二度も助けられた事に内申複雑な思いを抱くもまずは戦いを無事に終える事が出来たという点で胸を撫で下ろす。


「増援部隊が来る訳ではないか……で、さて、これからどうするかな。

他がまだ終わっていねえんならここでじっとしてるって訳には行かねえが……」


八咫はそう呟く。

この呟きから八咫は転移妖術を使えない事が分かる、否、正確に言えば転移妖術は誰でも使える様な汎用性のある妖術ではないのである。

それを使える存在が近くに複数人存在していた為に八咫も失念していたものの、其の事について全く考えていない訳ではない。

だがそれを考えた所で使える様になる訳でないそれ故に歩いて街まで出ようと思い足を進めるが、其の直後にそこに星峰と涙名が現れる。


「星峰、それに涙名もか、って事はそっちはもう終わったのか?」

「ええ、だから迎えに来たのよ、転移妖術が使えるのは私と天之御、そして涙名だけだからね。

それに他の皆も既に天之御が帰りの足を用意しているわ。

だから残っているのは八咫、貴方だけよ」

「そうか、それは遅くなっちまって悪いな」


ここまで話した所で星峰は転移妖術を発動させ、八咫と共にブエルス、謁見の間へと戻っていく。

そして謁見の間に戻るとそこには星峰の言う通り、他の面々が既に集ってきていた。


「八咫が戻ってきたね、さて、それじゃ報告を始めようか」


天之御がそう告げると星峰、涙名、八咫はそれぞれ自分達が交戦した兵器について話し始める。

それを聞いた空狐が


「動きのパターンがこれまでに無い物であるというのは私も感じたけど、もしそれが星峰の言うようにブントとは又違う悪意によって作り出されていたのだとすれば、考えられるのは……」

「ええ、其の可能性が一番高いとは言えるわね。

まあ、まだ確証があるわけではないけど……」

「でも、もし星峰の言うとおりだとしたら私が感じたあの事も納得がいくわね……」

「感じた?一体何を感じたの?」


と星峰と話を続けると其の最中で引っかかりを覚えずには居られないキーワードを口にする。


「私が感じたのは……」


空狐はそう告げると自身の戦いを話し始める。


~以降空狐の回想~


転移妖術で移動した空狐の前には多数の兵器が侵攻を開始する光景が広がっていた。

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