第972話 ドールマスター・コンスタリオ
双方の部隊、そして双方の指揮官の葛藤を抱えながら双方の部隊は後退し、エアロタウンにおける前線は集結していく。
一方、それを確認していたのは双方の部隊として戦場に立っている面々だけではなかった、今回の前線で兵器を操作していた存在、コンスタリオ小隊も同様である。
「良いんですか?兵器を自爆させたりして?」
「ええ、既に調査する為に飛空艇に兵器はある程度運び込んでいるわ、最も、操作して中に乗せた以上搭載したと言った方が適切かもしれないけど。
そしてこれでエアロタウンの部隊と今回交戦していた部隊が裏側組織側の部隊である事は略確定事項となったわね」
モイスがふと疑問を投げかけるとコンスタリオは理路整然と返答する、だがモイスの疑問は口に出した物だけに留まってはいなかった、今回の前線でコンスタリオが行った行動にも口にこそ出していないものの、少なからず疑問を抱いていた。
「幾ら自分の生まれ育った勝手知ったる場所とはいえ、彼処まで冷徹に、そして無感情に作戦行動を行う事等出来るのだろうか……或いはコンスタリオ隊長はこれをきっかけにしてこのエアロタウンに革命でも起こすつもりなのか……」
その内心は疑問だけでなく不安も入り交じる、これほど冷徹に行動するコンスタリオをモイスも、そしてシレットもこれまで見た事が無かったからだ。
「さて、私達もそろそろ戻らないとね……エアロタウンで前線が開かれた以上、司令に黙っている訳にはいかないわ。
この事を伝えておかないと最悪裏側組織に握り潰される可能性もないとは言えない、そうなれば其のデータを持っている私達にも疑いの目が向けられてしまう可能性が十分に考えられるわ」
コンスタリオはそう言うと席を立ち、モイスとシレットを連れて其の場から離れようとする、だが其の直後にシレットが
「え……待って下さい隊長、前線の跡地に生命反応が一つあります!!」
とモニターを指さしながら言う。
其の言葉にモイスとコンスタリオが反応し目線をモニターにやるとそこには確かに赤い生命反応が一つだけ点滅していた。
「反応は確かにあるけど動いていないわね……だとすると考えられるのは……」
「負傷して動けなくなったのか、或いは何かの罠か……何れにしても見過ごす訳にはいかねえんじゃねえか?」
「ええ、どちらにしても更に裏側組織に迫る手がかりが手に入る可能性だってあります!!」
モイスとシレットはそう強い語気でコンスタリオに語りかける。
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