第949話 寒々しいタウン

「これは……」


シレットの顔色は明らかに先程と異なり、警戒しているような、青ざめているような、そんな雰囲気を漂わせる。

それも無理もない話である、門の周囲からは機関銃や砲台がこれでもかと出現しており、今にも三人を狙い撃ってきそうであったからだ。


「そう、自然だけではなく、実質的にも要塞なのよ、このタウンはね。

だけどその守りは、時として排他を誘発する要因ともなる」


コンスタリオはそう告げると二人を連れて中に入っていく、だがその雰囲気は決して歓迎されているという雰囲気ではない。

そのタウン内にはシレット、モイス共に違和感を感じ得なかった。

自分達二人だけであればまだしもこのタウンに在籍していたコンスタリオに対してですら何処か余所余所しい雰囲気を与えるというのは異常としか言い様がない空気だったからだ。

そのタウンの中も何処か異質な空気が漂っていた、道行く人族は顔を合わせれば挨拶は交わすものの、それ以上にお互い踏み込もうとはしない。

その代わりなのか機器はブエルスやキャベル以上に発展しており、生命同士の交流に変わって機器が人の手助けをしている、そんな雰囲気であった。


「一体何なんですか、このタウンは……人族は居るのに何処か居ない様な空気が漂っていて……」

「シレットが異質に思うのも無理はないわ……このエアロタウンは周囲を過酷な環境に囲まれている事もあってか機器や文明の発達は他のタウンの追随を許さなかった。

だけどその変わり、人族同士、生命同士の交流も失われているのよ、それでも私が此処に居た頃はまだ交流があったんだけどね……今はもう、それすらも残っていないのかもしれない」


シレットが思わず口にした異質な空気に対するコンスタリオの返答、そしてその時の顔は明らかに寂しげ、悲しげな物であった。

実際そうなのかもしれない、先程から周囲を見渡しているコンスタリオの顔は明らかに悲しげな沈み方をしていた。


「もしかしたらなんですけど、隊長はこの人々の寒々しい交流すらも裏側勢力が関与したが為に生じている、そう考えているのではないのですか?」


シレットがそう口にするとコンスタリオは突然立ち止まり、何処か悲しげな顔をシレットに向ける。

そしてシレットに対して


「……其の通りよ、もしかしたらこの寒々しい交流すらも裏側勢力によって作られたものなのかもしれない。

そして、もしそうだとするなら……」

「故郷を無茶苦茶にした其奴らを許す訳にはいかない……ですか?」


コンスタリオが言いたい事を見透かしたのか、シレットは先にこう告げる。

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