第905話 コンスタリオの解答
「その先史遺産を手中に収めようとしている裏側の連中が動き出したのか、或いはそれを阻止する為に魔王側の部隊が動いているのか、其の何方かと考えるのが妥当な線ではあるわね」
「まあ、その両方が混ざっている可能性も考えられなくはねえけど……可能性としてはどっちかが動いているって考えていいんだろうな」
シレットの口火に対し、コンスタリオとモイスはそれぞれこう私見を述べる。
「それはそうなのでしょうけど……隊長は何方の可能性が高いと思うんですか?」
シレットのこの問いかけに対しコンスタリオは
「……以前の私なら考えられなかったけど、恐らくは魔王側の部隊が動いている可能性の方がより高いと考えているわ」
と返答する。
確かにコンスタリオの言う通り、この回答は以前のコンスタリオでは考えられないものであった。
それだけ魔神族に対する偏見が強かったとも言えるが、何より全ての黒幕は魔王であると信じて疑わなかったからだ。
だが今のコンスタリオは、いやコンスタリオ小隊は違う。
単純に魔王を倒せば戦いは終わるという意見はもう通用しなくなっている事を承知している。
「そうですか……では、私と同意見ですね」
「一応告げておくが、俺も同意見だ」
シレットとモイスもコンスタリオの意見に同意する。
無論、隊長の意見だから合わせているという訳ではない、自分なりに考えた上での判断である。
「それに、私の予測だと司令官も何かを隠している可能性があるわ……だから司令官が実は敵と言いたい訳では無いんだけど」
続けてコンスタリオが自身の中に芽生えていた疑念を二人に話す、するとシレットは
「其の司令官とはキャベルとブエルス、何方の司令官の事を指すのですか?」
と問い返し、コンスタリオがそれに対して
「ブエルスの司令官、つまり私達が先程まで話していた相手よ」
と告げる。
それを聞いたシレットとモイスは何となく納得したような表情を浮かべる。
「……驚かないの?」
「まあ、さっきの会話の雰囲気から何となく察しはつきましたから」
「それに今回の派兵もよく考えりゃ出来すぎてるからな」
二人の反応にコンスタリオが意外と言った表情を浮かべて疑問を投げかけると二人はこう答える。
其の反応にコンスタリオは少し自己反省をせざるを得ないと内心で思う。
自分の行動の何処かに不自然な点があると言う事が二人に悟られていたからだ。
「まあ、それは置いておくとして……司令官が何を隠していると思うんです?
本題は其処でしょう」
シレットの其の言葉にコンスタリオはふと我に返る。
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