第856話 真の地獄への入り口

「つうっ!!何て衝撃……」


跳ね飛ばされつつも受け身を取り、衝撃を緩和しつつ岬はそう告げる。


「此奴……自己修復の技術まで備えているの!?」


空狐が驚いた口調でそう告げると星峰は


「まあ、有り得ない話ではないわね……だとしても厄介な事ではあるわ……これだけの大きさとなると何処に制御装置があるのか……」


と此の兵器の厄介さを改めて口にし、この状況の危険性を物語る。

だがそこに天之御が


「だったらその存在毎時空の彼方に消し去るだけだよ!!魔王妖術……

漆黒の終焉!!」


と叫ぶと妖術を発動させ、大型兵器の背後にその名の通り真っ黒な球体を出現させ、その球体に大型兵器を吸引して行き、その中へと吸い込んで消滅させる。

そして球体と共に大型兵器も消滅する。


「あ、天之御……」

「悪いね……本来であれば残骸を回収するかデータを取得したいところだけど、こんな所で時間を掛けている訳には行かないから」


少し唖然とした様子を見せる星峰に対し謝意と共に時間を掛けている場合ではないと説明する天之御、だが星峰が唖然としている理由はそこにあるのではなく、この状況をいとも容易く突破するだけの能力を天之御が持っているところにあった。

それは天之御の、魔王の力が規格外であるということを星峰に対し改めて思わせる。


「さて……幸いにも次の兵器はまだ来ていないみたいだし、先を急ごう!!}

「そうですね、今みたいな兵器が量産されている可能性も十分考えられる異常

ここでグズグズしている余裕はありませんから」


天之御が先に進む事をその口から告げると涙名がそれに続けて同意し、同時にその内心から危機感を募らせている事を暗に示す。

その示しを察したのか


「そうね、この遺跡が初期、かつ今後の雛形を生産する為に作られたのであれば此の後にも今のような兵器が控えている事は十二分に考えられるわ。

それを調べる為にもここで立ち止まっている訳にはいかない」


と星峰も言葉を続け、一同は更に奥へと進んでいく。

そして暫く進むとそこには更に衝撃的とも言える光景が広がっていた。

一同の目の前にこれまでの先史遺産にあった物と告示した軍事施設の入り口が見えてくる。

それ自体は別に驚くに値しないが、問題はこの入口が通路や兵器、エレベーターを既に通ってきた先にあったという事である。


「ねえ、ここに入口があるってことは……」

「うん、ここまでが通路であり、遺跡の中ではなかったという事になる」


空狐と涙名が口にしたこの言葉が問題の本質を説明していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る