第852話 統率の無さの意味

一同はその攻撃を回避し、すかさず反撃に移る。

その先陣を切ったのはやはりと言うか、岬であった。

兵器の攻撃を掻い潜りつつ接近していき、すれ違いざまに強力な打撃を与えていく。

だがその打撃を受けても半壊する兵器とそうでない兵器が疎らに存在していた。


「同じ様な外見でも半壊したりしなかったり……耐久性も疎らに製造されているというの?

でも、だとしたら何の為に……」


岬が内心で疑念を抱くと同時に目の前にいる兵器が金槌の様な物を岬めがけて振り下ろしてくる。


「黒羽の衝刃!!」


八咫がそう叫び、羽から黒い刃状の衝撃波を放って兵器の金槌を切り落とすと岬は


「ありがとう、八咫、内心に雑念が湧いて少し油断したわ」


と素直に自分の過失を認めつつも同時に疑問を呈する。


「雑念?疑念じゃなくてか?まあ、そこは今はどうでもいい部分ではあるが……」


岬の言葉の曖昧さに少し突っ込みを入れつつも八咫は兵器の反撃に備え、直ぐ様次の攻撃態勢を取る。


「岬が疑念を抱くのも分からなくはない……あの兵器、色々と疎らに作られている感じだ……もし仮にあの兵器が今後の様々な雛形とする為に故意にまばらになっているのだとしたら、この先にあるのは……」


岬が疑念を抱いている事を聞き、涙名も内心それに同意する。

それ程今目の前にいる兵器の統一感は取れていない様に感じていたのだ。

それを証明するかのように又兵器の疎らとも言える武装が乱射される。

一歩間違えれば兵器同士で誤爆しかねない撃ち方であった。


「闇術……幾億の爪!!」


涙名はそう叫ぶと目の前に爪を振り翳し、その爪に妖術を注いで巨大化させ、更に数も増やして兵器に突き刺し、目の前にいる兵器を全滅させる。

その全ては大破し、これ以上動く事は無い。


「何なの……此の統率が取れていない兵器集団は……」

「彼処まで乱れていると、寧ろ故意に乱しているのかもしれないわね」


兵器の統一感の無さに疑念を抱かずにはいられなかった空狐に対し、星峰はその疑念を更に膨らませる。


「故意に乱すって……そんな事をするメリットは有るのか?」

「今後に応用する為の実戦データを取得するという点においては考えられなくは無いわ」

「今後に応用?それはつまり……」

「ええ、様々なパターン、状況を想定し今後に反映する為の兵器を作り出していく、それがもし統一性の無さの裏に隠された狙いなのだとしたら、この先にある遺跡は先史遺産の遺跡の中でもかなり初期に作られたものなのかもしれない」


八咫と星峰の会話はこの先にある物が想像以上に危険な物である可能性を示唆していた。

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