第841話 核心へと迫る為に
そしてコンスタリオは手元の端末を操作し、スターに当てた通信文章を作成して送信する。
その文章を受け取る相手であるスター、即ち星峰は今現在床に入り、夢の中へといざなわれていた。
その姿だけを見れば幼気な雰囲気を残す少女であり、戦場を潜り抜けてきた存在であるとは欠片も思えない。
その寝顔も戦士の顔ではなく、安らかに眠る少女の顔である。
まして嘗て人族の少年であった等最早本人の口から伝えられても信じられないだろう。
無論、事情を知る者を除けばの話ではあるが。
そして星峰が目を覚ましたのは当然ではあるが翌朝の事であった。
目を覚ました星峰は早々にコンスタリオ小隊から通信文章が届いていた事を知り、その内容を確認する。
「これは……どうやらコンスタリオ小隊は私達の願っている方向に動いてくれているようね……それは嬉しいことではあるのだけど、素直に喜んでいいのかどうか……」
内容を確認した星峰は複雑な表情を浮かべ、その内容について話し合う為なのか天之御の元へと向かっていく。
天之御の部屋に着くとそこは扉が開いており、顔を出した星峰が中を見るとそこには涙名の姿もあった、どうやら涙名も何か話したい事があって来た様だ。
「涙名?あなたも天之御と話したい事があるの?」
星峰がそう尋ねると涙名は
「うん、昨日キャベルの司令官から僕宛に通信が来たんだ」
と告げる。
それを聞いた星峰は
「そうなの……だとすると私が話したい事とも恐らく関連しているわね、一緒に話させてもらっていいかしら?」
と訪ね、それを聞いた涙名は
「勿論だよ、恐らくはコンスタリオ小隊の事何でしょ」
とその内容を察する。
「ええ、その内容を察してくれたって事はつまり、涙名が言うキャベル司令官の話もコンスタリオ小隊に関連する事なの?」
星峰がそう尋ねると涙名は
「直接そうかどうかは分からないけどね……司令官の話によればコンスタリオ小隊がブントの存在に疑念を抱き始めているって言うことだから」
と話を切り出す、すると星峰は
「抱き始めていると言うより、既に抱いているわ。
私の所にコンスタリオ小隊から届いた通信文章に書かれていたもの、大陸の裏側に潜む存在、それに迫りつつあるのかもしれないって」
と告げ、更に
「先日西大陸が陥落した事は知っている?でも人族部隊は完全には撤収していない、少なくとも半数近くの部隊が残っている、だけど彼等が襲撃を受けた記録は無い。
これは一体何を意味していると思う?
コンスタリオ小隊はこう訪ねてきていたわ」
と続ける。
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