第838話 乱れる価値観
「全く……奴等という存在はとことんまで此方の計算を狂わせてくれる」
「その通りではあるわね、現に貴方達が企てなルイナ皇子の暗殺も彼等の妨害によって失敗したんでしょう」
「ああ……まったくもってその通りだよ!!まさか奴等があんな術を持っているなんてな……」
魔神族に対する悪口大会が開催されようとしていたような空気だったが、アンナースが少し皮肉った言い方をした事でその場の空気は再び重くなる。
「対象者と自分の肉体を入れ替える秘術……それを使って此方の暗殺者と体を入れ等得られていたとはね……しかもその事についこの間まで全く気付かなかった。
「もしその能力が仮に他の魔神族も持っている可能性があるものだとしたら、その能力を使って彼等の大切な同僚の身体を奪った可能性は考えられる?」
「考えられなくはないと思います、そしてその場合、その同僚は既に私達の存在に気付いている可能性が高いでしょう」
「……そうね、警戒が必要ではあるわね。
でもだからといってその同僚に此方から手を出すという訳にはいかない、そんな事をすれば私達に対する不信感を彼等は益々抱くでしょうから」
ブエルス司令官、西大陸司令官、アンナースは口々にこう話す。
彼等の言っている同僚とは勿論スター・ボレードの事であり、その話の内容は的を得てはいた。
勿論彼等はそんな事は知る由もないが。
そんな彼等の会話をすぐ近くの扉の外で聞き耳を立てて聴いていた存在がいた。
そしてその存在はそこまで聞き終えると聞き耳を終え、その場から離れていく。
一方、今此処で少しではあるものの話題に入ったコンスタリオ小隊はというとコンスタリオの部屋に三人が集まり、彼等も又独自に今後のことについて話し合っていた。
「3つの大陸が魔神族の制圧下に置かれてしまいましたね……今後はどうなっていくんでしょう……」
そう話すシレットの声は明らかに沈んでいる、いや、不安が混ざっていた。
内心に抱いている不安を隠しきれていないのだろう。
そんなシレットの声に引きずられたのか、直後のモイスの
「確かに不安だな……それに西大陸では判明した事実が多すぎる。
このままもし押し返して俺達が魔王を討伐したとしても、それで平和になるとは限らないっていうのは大きすぎるぜ……」
という声にも明らかに不安が混じっていた。
「……そうね、それにスターについてもどうなっているのか未だ不明……まあ、じっとしていても始まらないから今は出来る事をするしか無いわ」
コンスタリオもこうは言う物の、その内心には他の二人と同様に不安を抱えていた。
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