第835話 失意の帰還
「わ、分かりました……それではご武運を!!」
司令官はそう告げるとその場から走り去る様に移動車両へと向かっていき、その後をアンナースも追跡していく。
それを確認したコンスタリオは
「さて、私達も行く……前に一仕事しないとね」
と呟き、それに賛同する様にシレットとモイスも首を縦に振る。
どうやらコンスタリオが告げる仕事の詳細について彼等は把握しているようだ。
そのまま彼等は踵を返して司令室に向かい、目の前のモニターに何かの図を表示する。
「……確認出来ましたね、そして一致も間違いありません」
「恐らくこれは偶然ではなく必然、恐らくは魔神族も承知していた上で仕掛けたと考えてまず間違いないわね」
「それどころか、彼等は積極的に魔神族に協力していた可能性もありますよ。
最もその場合、だから裏切り者なのかとは単純には言えませんが……」
司令室でその図を見たコンスタリオ小隊は口々にそう告げる。
眼の前に広がっている図は見た限りでは西大陸の地理を表している様だがその上には赤い丸がまばらに映っている。
いや疎らというのも正確ではない、ある地点において纏まってはいるもののそれが大陸獣に点在しているように見える。
「ええ、これで確認は済んだわね、なら私達も向かいましょう。此処に長居をしていたら私達にもあらぬ疑いを向けられかねないわ」
そうコンスタリオが告げるとシレットは
「そうですね、既に飛空艇も呼び寄せていますし、余り待たせるのもいい印象は与えませんからね」
とコンスタリオに賛同し、一同は司令室を後にしてそのまま一同が呼び出した飛空艇に乗り込んでそのままキャベルへと向かう。
そしてキャベルに到着すると一同は一番最後に出発したにも関わらず最も早く到着していた、此の辺りは陸路と空路の違いと考えるべきだろうか。
一同がキャベルに到着するとまずはキャベルの部隊司令官が入り口に現れる。
「皆さん……良くご無事で戻ってきてくれました」
そう告げるキャベル部隊司令官の声には明らかに一同を心配している事が伝わってくる。
それを感じたのかコンスタリオは
「ええ、ですが……」
と何処か後ろめたさを感じるような返答をする。
西大陸を守りきれなかった事に対する悔恨があるのか、それとも……
「西大陸の剣の心境はお察しします、ですが皆さんがこうして生きて戻ってきてくれれば必ず又立ち上がれる筈です!!」
コンスタリオの表情からその心境を察したのか、キャベル部隊司令官はこう告げてコンスタリオを激励する。
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