第829話 侵攻の終焉

そう、アンナースはコンスタリオ小隊が自分がサルキスを撃った所を見ていたのを勘付いていた。

その為にその為に自分がブント側であるという確証を与えずに済んでいる事に内心で複雑な感情を抱く。

信頼と懐疑、相反する感情を内心に抱えて葛藤しつつも四人は近くにあった脱出口へと移動し、そのまま司令塔の外へと脱出する。


「脱出口そのものは破壊されていない……これもやはり、彼等が此処が逃走通路である事に気づいたが故の処置なのでしょうね……」


アンナースは内心でそう考えるとコンスタリオの表情を無意識の内に確認する。

それだけその部分が気になっているという事なのだろう。

一方、コンスタリオはそれに気付いているのか居ないのか分からない。

そのまま地上に降り、周囲に兵士が居ない事を確認する。


「私の部隊には既に退却命令を出しています、皆さんは……」

「飛空艇を既に呼んであるわ、アンナースも乗って!!ここから部隊に合流するにはリスクが大きすぎる」


アンナースが既に退却命令を出している事を確認するとコンスタリオはそう発言し、アンナースもそれを了承する。

そしてそのままコンスタリオたちが呼び出した飛空艇に乗り込み、その場を後にする。

一方、サルキスの確保に失敗した星峰達は司令室に戻り、残っていた他の兵士を退ける事で要塞の陥落を成功させていた。


「要塞の司令部の制圧は完了したわ、後はこの動くシステムを停止させれば!!」


星峰はそう言うとシステム制御端末に手を伸ばし、それを操作して機能を停止させる。

そして要塞の動きは止まり、それに気付いて勝敗を察したのか各地から応援に来ていたブント側の人族部隊は撤収していく。


「各戦場の状況を確認……各タウンから応援に来ていた部隊はほぼ全て即時に撤収を初めているわ」

「ならそのまま撤収させて構わないわ、それよりも要塞内部に残っている兵士の動向から目を離さないで!!」


空狐が外部の様子を伝えると星峰はそれよりも内部に目を向けて欲しいと告げる。

その内心で嫌な予感が過っているのだろうという事は空狐には容易に想像出来た。

そしてそれが的中したのか、モニターで確認出来る要塞内の到る所から銃声が鳴り響く。


「まだ抵抗するつもりなの!?」


岬はそう叫ぶが星峰は


「違うわ、恐らくこれは……」


と岬の発言を違うと告げる、だがその表情はより深刻な事態が起きているという事を暗に示していた。


「お、おい……これって……」


その直後、八咫がモニターを見ながら明らかに動じた声を上げる。

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