第828話 それぞれの葛藤
だが当然内心で勘繰って居る事等コンスタリオ小隊の目の前で口に出せる筈も無くアンナースはその内心に自身の疑念を抱え込む事になる。
それはこれまでのコンスタリオ小隊と同様の状態であった。
一方のコンスタリオ小隊はというと一見するとアンナースと合流し、無事を確かめあったように見えるがその内心は
「こう誤魔化しはしたけど、コンスタリオ隊長の言っていた通り此処は逃走用の通路だった、そしてその通路を破壊した事でサルキスの逃げ場を奪う事に成功した」
「もしアンナースがサルキスを助けたのならアンナースはサルキスと同志と言う事になった。
だがアンナースはサルキスを撃ち殺した、それは口封じの為なのか?それとも……」
と彼等も又アンナースに対する疑念を募らせていた、更にその疑念から彼等はアンナースがサルキスを撃ち殺す場面を目撃していた事も分かる。
「やはり此の通路は万が一の為の逃走通路だった……そしてその破壊も又正解ではあった、だけど此の言いしれぬ違和感は何?」
コンスタリオも又、自身の内心で何かを感じ取っていた。
その直後、司令部全体を激しい揺れが襲う、それも外から揺れているのではない、内部から揺れているのが感じ取れた。
「!?攻撃を受けているんですか!?」
アンナースは総発言するがコンスタリオは
「いいえ、この振動は内部から発生しているわ、だとすると彼等が……早くここから離れるわよ!!」
とその場からの離脱を一同に促し、モイスとシレットは
「了解!!」
と大声で叫んで了承する。
残るアンナースも
「仕方ありませんね……この状況では私達だけで足掻いた所で司令官を欠いてしまった以上、総崩れになるだけでしょうから」
と言ってあっさりとコンスタリオ小隊に同意する。
それを聞いたコンスタリオ小隊は
「司令官を欠いたって……つまり彼等に此処の司令官が撃たれたという事ですか!?」
とアンナースに問いかけ、アンナースがそれに対し
「ええ、残念ながら救援は間に合わなかったわ」
と返す。
何方の返答にもその内容には白々しさが感じられるが、双方とも自分も又そうであることから相手に対して深く突っ込む事が出来ない。
「あっさりと此処を捨てる事に同意するなんて……やはりアンナースは裏側の人族では無いという事?それとも……」
コンスタリオの内心はアンナースへの疑念と信頼で一人葛藤を抱えていた。
一方、アンナースも又
「彼等にサルキスを撃った所を見られたのは幸か不幸か……」
と葛藤を抱える。
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