第807話 司令部到達
コンスタリオの言う通り、複雑怪奇な構成となっている司令塔は敵を疲労させ、且つ迎撃の時間を稼ぐ目的があるのかかなりの広さがあった。
それ故にコンスタリオ小隊も又疲労し、且つ中々司令官のもとに辿り着く事が出来ない。
「一体どこに司令官は居るんだ!?これだけ探し回っても見つからないって事は相当なかくれんぼの達人なのか、それとも……」
モイスがふと大声で不満を漏らす、だがその直後にコンスタリオは
「ええ、でもそのかくれんぼもどうやら終わりにできそうよ」
と告げる。
その目の前には明らかに異質な威圧感がある大きな扉が存在していた。
「此の扉の奥が司令部……?」
「まだそこまで断言は出来ないけれど、可能性としては十分考えられるでしょう」
シレットがふと漏らした疑問に対し、コンスタリオは前に進むしか無いと言った趣旨の返答をする。
それに対しシレットは
「それはそうかも知れませんが……」
と尚も不安を隠せない。
「不安なのも分かるけど、不安ばかりに囚われていても先に進めないのも事実よ。
さあ、覚悟を決めましょう!!」
コンスタリオがそう告げると三人はその扉を開けてその奥へと入っていく。
するとそこはコンスタリオの予想通り司令室だったらしく、部屋中のモニターにはこの戦場のあらゆる部分が映し出されていた。
「おや、コンスタリオ小隊の皆さん……態々こんな所に何の用事で?」
眼の前の椅子に座っている人族の男性がコンスタリオ小隊に話しかけてくる。
その男性からは何とも言い難い威圧感が感じられた。
この男性が司令官なのか……そう思いながらもコンスタリオは
「貴方がこの部隊の司令官なのですか?」
「如何にもそのとおりですが」
「であるならばこの要塞の背面に部隊を回して下さい!!
これだけの映像があるのであれば既にご存知の筈でしょう、背面を防衛している部隊がどの様な状況にあるのかを」
司令官だと名乗るその男性に対し、コンスタリオは普段より明らかに強い口調で背面部隊に援軍を贈る様に語る。
「確かに状況は把握していますが、今から送る必要はありませんよ。
ほら、これを見て下さい」
と言ってモニターの一部を指差す。
コンスタリオ小隊がその指さされたモニターを見るとそこには背面の戦場らしき映像が映し出されていた。
だがその映像には人族部隊も魔神族部隊も映っていなかった。
「!?どういう事なの?背面に部隊が全く見当たらない……」
シレットが困惑した口調を出すとコンスタリオは
「他の方角に向かったという事なの……」
と一つの仮説を混乱しつつも成立させる。
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