第803話 入り乱れる混沌
その頃、二人の心配を密かに受けていた八咫も又地下から上の施設へと移動し、内部を侵攻している他のメンバーとの合流を図ろうとしていた。
だが此方も又、その道中において幾度となく人族部隊の足止めを食らい、中々思う様に前に進めずにいた。
「ちっ、此奴等一体どれ程の戦力を持ってやがる……いや、さっきの部屋の事から考えるとこの施設自体に兵士を生み出す能力があるって考える方が自然か……
嫌な自給自足だな!!」
そう大声を出すと八咫は目の前に立ち塞がっていた人族部隊を蹴散らし、更に先へと進んでいく。
だが今度は床に擬態していた生体兵器に足元を取られ、その場で又しても足止めを食らってしまう。
更にその隙を逃さないと言わんばかりにそこに人族部隊が集まってくる、いや、今度は人族部隊だけではなかった、兵器や魔神族も混じっている。
そしてその奥にいる指揮官らしき存在は先程空狐や涙名も交戦していた女であった。
「あの女は……ちっ!!そういう事だっていうのかよ!!」
どうやら八咫は事情を察したらしく、その声は明らかに荒い物になる。
その人族指揮官はやはり此処でも機械的な発言を繰り返し、周囲の兵器や兵士に支持を与え八咫に容赦ない攻撃を加えてくる。
回りの兵士もそれに同調し、人族兵士魔神族兵士を問わず統率の取れた動きを見せ、八咫に反撃する隙を与えない。
「くっ、このままではいずれ押し込まれるか……」
劣勢に追い込まれつつある事を自覚するものの、中々反撃の糸口をつかめずにいる八咫、そこに更なる人族部隊が出現し八咫に追い打ちをかけようとしてくる。
「ちっ、こんな時に増援まで……」
何時もより弱気な発言が思わず口から出る八咫、だがその直後、増援に現れた部隊の兵士は突然その場に倒れ込み、そのまま動かなくなる。
「何だ!?何が起こった……」
想定外の事態に八咫も困惑を隠せないがそれ以上にその場にいた兵士が困惑を隠せずにいた。
指揮官も困惑している辺り、相当に予想外の事態だった様だ。そしてその直後、その部隊の背後から
「弱気になるのはまだ早いしらしくないんじゃない?」
その言葉と同時にその場に現れたのは八咫とは正反対の場所から内部に突入した岬であった。
「岬!?どうして此処に……いや、この中にいる事自体は驚きはしないが……」
「内部を捜索していたらこの部隊が何処かに向かっていくのが見えたから後をつけさせてもらったのよ。
その場で蹴散らしても良かったんだけど此の方が重要な所に道案内してくれるんじゃないかって思ってね」
八咫の問いかけに対し岬は余裕といった表情と言葉で答える。
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