第791話 無限兵器!?
ほんの一瞬で修復された壁を見つめ、涙名と空狐は擬態兵器の驚異を改めて認識する。
これ程までに素早い自己再生はこれまで見た事が無かった、それ程にこのスピードでの回復は異常であった。
「こんな物がいきなり設置されているという事はつまり、ここはそれだけの技術を動員して作られた要塞だってことになる。
これは相当な危険を感じるね……」
「まあ、これだけの都市が動いているって時点で危険性は極めて高いと言えるけどね、そして、それを話している時間すらも本来は惜しい!!」
空狐と涙名はそう言うとお互いに顔を合わせ、頷いた後更に先へと進んでいく。
すると今度は床からスライムの様な液状の何かが出現し、その液状の何かはやがて兵器の姿を模って兵器として空狐と涙名の前に立ち塞がる。
「くっ、今度は兵器の姿を模して来たって訳ね、だけど兵器が兵器を模した所で!!」
空狐はそう言うと手元の剣に手をかけ、そのまま兵器に向かって引き抜くと同時に斬撃を放ち、兵器を両断して破壊する。
だがその直後に地面から新たな液状化が発生し、再び兵器の姿を模って現れる。
しかも先程よりその数を増やしており、質の悪さを感じさせる。
「くっ、この調子でどんどん数を増やしていくつもりなの……」
「いや……この要塞自体も兵器である以上、無限に素材がある訳じゃない筈だよ、もしこれが迎撃システムだとしたら……」
「迎撃としてだけではなく、そのまま外に出て被害を拡大させる可能性もあり得るわね」
数を増やして復活した兵器を前に空狐と涙名は嫌な予感を感じずにはいられなかった。
「皆……私達がここで引き付けている間に奥に進んで……」
兵器を前に交戦の構えを崩さない空狐であるが、一方ではこのまま自分達が囮になる事も考え始めていた。
その頃、東から司令部に向かっていた岬は幾度となく建築物に擬態した兵器の攻撃を受け、その足を何度も止められ続けていた。
「くっ、これじゃ勢いに乗れない……」
何度も足を止められたが故か、次第に岬の表情には焦りが見え始める。
それでもその足を止める事自体はしなかった、そんな余裕等既に無い事は分かっていたからだ。
「ここで諦める訳にはいかない!!他の場所で戦っている皆の為にもね」
岬はそう内心で自分に言い聞かせると兵器を格闘術で退けていき、その足で中央司令部の建物へと向かっていく。
そして漸くそこに到着したものの、そこに入り口の様な場所はなく岬は周囲を見渡していた。
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