第786話 それぞれの裏切者

そういうと人族部隊は星峰と天之御の前に打って出て部隊を展開し、交戦体制をとる。

それを見たブント側の人族部隊が


「おのれ……裏切者どもが……魔神族に取り入って我等の邪魔をするとは……」

「自分達で考える事すら放棄した連中が偉そうな口を利かないでほしい物ですね」

「ええい、その減らず口を魔神族共々塞いでくれる!!」

「塞げるものであれば塞いでみて下さい!!」


ブント側の人族部隊の発言に対し協力者側の人族部隊は完全に挑発し返すような発言で返す、余程相手には負けないという自信があるのだろうか。

そして人族同士が激突し、そのぶつかり合いは兵士の肉弾戦、銃撃戦、そして魔法による魔術戦が入り乱れたものとなる。


「私達も黙って見ている訳には……」

「いいえ、貴方達は先に進んで下さい!!」

「貴方達だけで抑えられる相手なの?」


加勢しようとする星峰に対し人族兵士は先に進むよう促す、それを過信と思ったのか星峰は忠告する様な発言をするが兵士は


「いいえ、抑えるのではありません、退けて見せますよ!!」


と言って目の前で鍔迫り合いをしている人族兵士の剣を叩き折るとそのまま腹部を切り裂き、その体をその場に崩れさせる。

その斬撃を皮切りに他の兵士達も魔術や銃撃、肉弾戦でブント側の人族部隊兵士を先程の兵士の宣言通りに退けていく。

そして物の数分もしない内にブント側の人族部隊は総崩れとなり、その宣言通りに人族部隊はブント側の部隊を退ける。


「凄い……一体何処からこれだけの力が……」

「今まで積んできた鍛錬と実践の成果を見せただけです。

俄かに身に着けた能力の限界等所詮この程度でしかないんですよ」


星峰がその身体能力に対し関心を示す一方、人族兵士はこう吐き捨てるように宣言する。

その様子からは彼等も又、ブントの兵士に対して嫌悪感を抱いている事が見て取れる。


「俄かに身に着けた能力……やはりブントは人造生命に手を染めているのか……」

「ええ、我々の方でもブントを調査してみましたが、各地の施設の建造パターンから見てもほぼ確定事項と言えます」

「そしてその中枢が……」


天之御が確認するように呟くと兵士はそれを肯定し、星峰もその後に言葉を続ける。

その言動は何かを確信しているように見える。


「さあ、行きましょう!!この先にある目的地に」


人族の兵士がそう発言すると星峰、天之御も頷き、その足を再び進めていく。

道中幾度となくブント側の人族部隊が立ち塞がるものの、既に彼等の敵ではなかった。

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