第757話 空孤との再会

「何なの……あれは……」


規格外とも言えるその大きさにコンスタリオも唖然とする、そんなコンスタリオを見て兵士は


「あれが我々の切り札であり、この侵攻を決意させた最大の理由です。オペールタウンの全技術を……いえ、西大陸の持てる限りの技術を注ぎ込んで製造したのですから早々は陥落しません」


と何処か得意げに言う。

その得意げな発言は兵士だけだと只の発足の様に思えるが規格外の大型兵器、いや要塞と言えるその兵器を見た瞬間にそれは空威張りではないと実感せざるを得ない。

要塞が砲撃を繰り出すと前方にいた魔神族が吹き飛ぶ、それを何度も見せつけられたからだ。


「凄い……これなら……」


シレットは思わずそう呟く。


「そうでしょう!!この力で西大陸を一気に人族の手に取り戻しましょう」


兵士はそう言ってコンスタリオ小隊を鼓舞しようとする、だがその自信故に気付かなかったのだろう。

今のシレットの呟きに少なからず嫌悪感が混じっていたと言う事に、そしてそれは言葉にこそ出さないものの、モイスとコンスタリオも同様であった。

そして続けて要塞の砲撃が又も放たれ、それが着弾し爆発を起こす。


「よし、この勢いで行けば……」


兵士はそう言うと一気に前に進もうとするがその横を斬撃が掠め、順調に進んでいたかに見えたその足を止めざるを得なくなる。


「な、何!?」

「今のは……」


困惑する兵士を尻目に今の斬撃に覚えがあると言わんばかりの言動をとるコンスタリオ、そして前方に目をやるとそこには無傷の魔神族部隊、そしてその先陣を切る空孤の姿があった。


「あの魔神族は……やはり彼等が来たのね」


空孤の姿を見て警戒心を強めるコンスタリオ、そんなコンスタリオの方に空孤率いる魔神族部隊は一機に接近してくる。


「くっ、今の我々の勢いを……」


そう兵士が話す間もなく空孤は


「孤妖術……赤色の飛沫!!」


と言って赤い水飛沫を飛ばし兵士達の視界を奪う。

そしてその視界を奪った事で出来た隙を突いて兵士達も格闘戦を仕掛けていく。

完全に不意を突かれ、勢いを止められた人族部隊は魔神族の猛攻に押され、後退を余儀なくされていく。

そしてほんの僅かな時間でその場にはコンスタリオ小隊が残されるのみとなってしまった。


「貴方が来たと言う事は……やはりオペールタウンはそういう事なの?」


コンスタリオがこう問いかけるその相手は空孤であった。


「ええ、貴方達の予想している通り、オペールタウンと私達は敵対しているわ。

それも最悪に近い形で」


コンスタリオの問いかけに対し、空孤は躊躇う事無く返答する。

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