第688話 モイスの奥の手
「あの魔法壁を何とかしないと兵器を破壊する事は出来ないわね……何か突破口は見いだせないの……」
魔法壁の存在にコンスタリオの顔に一瞬焦りが出そうになる、だが次の瞬間、兵器が攻撃態勢を取ろうとしたその時コンスタリオは動き出す。
「隊長!?何を……」
この状況で動く意図が読めず、シレットは困惑した声を上げる、そんなシレットの声が届いていないのかコンスタリオはそのまま兵器に向かい、攻撃態勢を取っていた兵器の機関銃部分に得意の格闘術を叩き込む。
すると兵器はバランスを崩し、左右にぐらつく。
それは明らかに微弱であれダメージを与えた証であった。
「そうか……武器の部分まで魔法壁で覆っちまったら向こうも攻撃出来ねえんだった……」
「たとえ普段は展開していても攻撃時は解除せざるを得ないって訳ね!!」
コンスタリオの意図を理解したシレットとモイスはそれぞれ攻撃態勢を取り、兵器の外側から見えている武装部分を攻撃していく。
その一撃は微弱かそうでないかはさておき、兵器に確実にダメージを蓄積させて行く。それにより少なくとも目に見える範囲にある武装は全て破壊する事が出来た。
だが本隊は未だ魔法壁を展開し続けている。
「くっ、兵器の制御システムが分かればあの魔法壁を解除する術も分かるかもしれないけど……」
「ですが、外側の武装を破壊したのであれば他に武装があるとしたら……」
コンスタリオとシレットがそう語った後、兵器の動きに変化が見られ、中心部分に魔法を集中させていく。
「中心部分に魔法を集めている!?もしかしてあれを放出するつもりか!!」
「!!しまった……」
回避行動を取ろうとしたコンスタリオだが、その背後には現地部隊がおり、今から回避したとしても現地部隊の散会が間に合わない事を知る。
そして無情にも兵器はモイスの予想通りその魔法をまるでビームの様に放出して来ようとする……だがその発射の直前、兵器は突如として倒れ込み放出角度が僅かにずれ、その魔力は空の彼方へと向かって放たれる。
「な、何が起こったの……」
状況が良く呑み込めないままにコンスタリオがそう呟き、辺りを見渡す。
すると直ぐ傍にいたモイスが両手でこれまで見た事の無い大型の機関銃を抱えていた。
「モイス……それって……」
コンスタリオが動揺した声を上げるとモイスは
「俺の……魔力の集大成だ……」
と疲労感を感じさせる声で呟く、その声は普段のモイスからは想像出来ない程に疲れ切っていた。
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