第666話 もう一つの部隊演劇
「ええ、少なくともブントの片鱗をコンスタリオ小隊に見せる事は出来た。
これで私達の言っている事を少なくとも完全な出鱈目として無視する事は出来なくなったのだから」
星峰はそう発言する、その発言は先程のコンスタリオとは対照的に自信が感じられる、それも嘗て行動を共にしていたが故だろうか、それとも……
「それにしても良く考え付くわよね、ブントの侵攻を逆に利用してコンスタリオ小隊に真実を伝えるなんて」
空弧は感心した口調で星峰を見つめ、そう発言する。
「ここまでスムーズに上手く行くとは思わなかったけど、そうしないと魔神族が適当な敗北をしてこの侵攻が終わりと言う事になり、この事実も闇に葬られかねなかったからね」
空弧も星峰の顔を見つめ返しつつそう発言する。
(ここで話は今回の作戦開始時に遡る)
「コンスタリオ小隊が同行しているとなると、このままいけば魔神族側のブントが適当な抵抗をするだけの茶番劇になるのは明白か……」
「どうする?このまま見逃したら……」
八咫と岬がブント部隊が表示された地図を睨みながらそう発言すると星峰は
「なら、奴等の書いた三文芝居の脚本を私達が改稿してあげましょう。とびっきり一流の演劇にね」
と発言する、その発言には強気な気持ちが感じられ、単なるはったりでそう言っているのではないという事は周囲の誰の目から見ても明らかであった。
「と言う事は何か策があるんだね」
「ええ、最もその為には私達も出向く必要があるけど」
天之御が星峰に尋ねると星峰は明確にこう返答する。
その返答に興味を持ったのか天之御は
「分かった、なら行こう!!」
と言い、周囲の全員もその言葉に同意する、決して天之御がそう言っているから同意しているのではない、星峯自身への信頼があるからこそ同意しているのである。
それをかくにんすると天之御は転移妖術を使い、一行を魔神族側のブント部隊の近くへと転移させる。
転移先からは魔神族側のブント部隊を確認するとその侵攻は如何にも気怠そうであり、やる気のなさ、この信仰の勝敗が初めから決定している事が透けて見える。
「如何にもな感じの侵攻ですね……これで勝てる戦など何処を探しても無いでしょう」
空弧がそう呟くと他の面々も満場一致で首を縦に振る。
「なら、そのやる気のない連中の尻に火をつけてあげましょう!!」
星峰がそういうと一同は一斉に魔神族部隊の前に姿を現す。
それを見た魔神族兵士達は一様に驚き、困惑した表情を浮かべる。
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