第665話 コンスタリオの決断

「部隊司令官、どうかしたのですか?」


コンスタリオが声を大にしてそう通信に応対すると司令官は


「コンスタリオ小隊の皆さん、今回の作戦は失敗です。

内部に突入した部隊と悉く連絡が取れなくなり、皆様方を除いて通信が繋がらないのです。

これでは止むを得ませんが……」


と告げる。その言葉を聞き、コンスタリオ小隊は、否コンスタリオは言葉を失う。

司令が言っている事が事実なのであれば少なくとも今目の前におり、コンスタリオ小隊をここまで案内してきた人族兵士は司令官の言う部隊に含まれていない事になる。

先程までのブントという存在の言葉も考えるとその場でコンスタリオ小隊に出来る事は最早無いに等しかった。


「分かりました……作戦宙域より離脱します」


コンスタリオはそう返答すると通信を切り、そのまま顔を天之御の方に向ける。


「さあ、どうするの?」


天之御がコンスタリオにそう尋ねるとコンスタリオは


「どうする……か……分からないわ。何を信じればいいのか、今までの戦いは何だったのか……でも一つだけいえる事は今ここで立ち止まる訳には行かないと言う事、だから……」


と何とか回答するものの、その回答に力は感じられず言葉から弱弱しさが漂う。

だがそれでもコンスタリオは言葉を返しているだけましともいえる、シレットとモイスは突きつけられた真実に打ちのめされているのか、最早言葉を発する気力すら感じられない。


「だから……どうするの?」


岬がそう問いかけるとコンスタリオは


「貴方達が言っていた事を直ぐに信用する事は正直言って出来ないわ。でも、だからと言ってそれを全くの出鱈目であると言い切る事も出来ない。

そうしたいとは思っても状況証拠がそれをさせてくれない」


と淡々と口にする。だがやはりその言葉に覇気や強気な気持ちは感じられない。


「けど、だからと言って此処で貴方達と戦っても今の私達に勝ち目はないでしょうね。だから……今はこうするしかないわ」


コンスタリオはそういうとシレットとモイスの手を引き、その部屋から外に出ていく。

その一部始終を見ていた人族兵士が


「これで宜しいのですか?」


と疑念を口にする。それを聞いた星峰は


「ええ、コンスタリオ小隊であれば恐らくそうするだろうという行動そのものだからね。それに私も初めにこの事実を告げられた時は正直信じられなかった。

後はコンスタリオ小隊の皆が賢明な判断をしてくれる事を信じるしかないわ」


と告げる。

人族兵士から見ると疑問を抱かざるを得ないようだが、星峰は明確にこう回答する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る