第644話 止められない歩み
「生産ラインを装った罠、迎撃用の兵器、この二点から考えてもこの施設は当初より敵の襲撃を想定して建造されたと考えてまず間違いない。
それ程重要な施設って事か……」
「猶の事野放しには出来なくなったわね」
涙名の仮説を聴き、天之御と星峰は更に気を引き締める、そしてそれは他の面々にも確実に伝わり、その緊張感は更に高まっていく。
「そうだとするとこの施設はこの技術が用いられた戦争の際にもかなり重要な役割を果たしていたと言う事になるわ。これ程の施設まで用いられたこの世界の戦争……それは一体どのような物なの……」
施設の重要性を理解すると同時に星峰は内心に強い不安を抱く。
先史遺産の技術が用いられていた戦争がどの様な物なのか、又誰がそれを引き起こしたのかという点について不安を抱かずにはいられなかった。
「兎に角、この部屋が単なる分岐通路でしかないと言う事が分かった以上、何時までもここでじっとしている訳には行かない。
次はどちらに向かうかだけど……」
「此処から先の事についてはマップのデータにも記載されていなかったわ。
恐らくはそれもここでミスリードする罠の一環何でしょうけど……」
「鬼が出るか蛇が出るかは運次第って事だね、ならここはもう直感で言った方がいいのかもしれない」
この部屋から続く道に対して何処に向かうかを話す天之御と星峰、それぞれの通路は全てから迎撃用の兵器が出現しており、迎撃の有無による違いはなかった。その事実も又一同を混乱させる。
「じっとしていても仕方ない、取り敢えず前の通路に進んでみよう」
天之御がそう告げると涙名が
「その方がいいかもしれないね。もし万が一罠だったとしても他の通路に行けばいい事は分かるんだから」
とその決定を肯定し、一同は天之御に従って正面の通路へと進んでいく。
其処は先程までの通路と同じく一本道であり、途中に隠し通路なども見当たらない。
「不気味なくらい静かですね……さっきまでの兵器の襲撃がまるで信じられません……」
「ええ、でもそうだとすると新たな疑念が沸いてくるわね」
「さっきの兵器が一体何処から来たのか……という点ですね」
通路の静けさを不気味に感じる岬に対し星峰が疑念もあると告げると岬はその疑念を読み取る。だがその直後
「どうやらその疑念は直ぐに解決してくれるみたいだよ」
と天之御が告げる。その言葉に困惑しつつも一同が天之御と同じ方向に目を向けるとそこには転移魔術の印が出現しており、そこから兵器が出現する。
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