第639話 施設調査再開
豊雲が表示したデータは幾つかの施設の外見が映し出されており、その周囲には存在するエリアと推測される場所も映し出されている。
地形もある程度詳しく描かれており、それが地図の体を生しているのは明らかであった。
「この構図……どうやら先史遺産のある世界の一部を書いた物であるのは間違いなさそうだね」
その画像を見て天之御ははっきりとそう断言する。
「殿下、どうしてそう言い切れるんです?」
空弧が天之御に問いかけると天之御は
「ここに書かれている施設をよく見て、既に僕達が調査した施設も混ざっているから」
と豊雲の表示した画面を指差しつつ、その理由を説明する。
天之御の指差しに従い、改めて画面を見つめる一同、すると最初に見た時には直ぐには気付かなかったが、その外見から以前自分達が調査した施設が幾つか混じっている事は知る事が出来た。
「本当ですね……しかもこれって……」
「ええ、天之御が言っている施設は全て例の地下街から移動した先にあるわ。
となると、残る施設も恐らくは……」
「イェニーがどうやって施設に辿り着いたのか、はたまた偶然そうなっているだけなのかどうかは分からない、だけどあの地下空間からいける施設である可能性はかなり高いと思う」
空弧と星峰が互いに出し合った疑問に対し天之御はこう返答する。
それは天之御の中にはそれが偶然ではないという疑念が明らかに存在している事の表れでもあった。
「それはそうとして、どうするんです?」
岬が天之御に問いかけると天之御は
「標的の場所はとりあえず突き止める事は出来た、だけどそこにイェニーが乗り込んでいたのだとしたら何らかの罠が仕掛けられているかもしれない。
それによって先日の無茶苦茶な侵攻のような事態が引き起こされたのだとしたら……」
と返答し、それに続く形で星峰も
「私達が乗り込んだ事で何らかのトラブルが発生する可能性は十分考えられるわね……それにもし、ブントがその施設を手中に収めているのだとしたら前の施設の一件も考慮しガードが固くなっている可能性もある、ここは……」
と言葉を続ける。その言葉を聞いた天之御は
「うん、例の施設の調査再開を優先するよ、それに上手く行けばあの施設からこれらの施設に対する情報を得られるかもしれない」
と施設調査の再開を優先する事を告げる、そしてそのまま転移妖術を発動させ、善は急げと言わんばかりに一行を転移させる。
その行先は当然、先日も調査した例の施設であった。
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