第612話 東西の類似点
「パスワード?と言う事はやっぱり見られたくない物を記録しているの?」
「その可能性も無くは無いけど、個人且つ職員のパソコンであれば設定されていたとしても別に不思議ではないわ。単に他の同僚に見られたくないだけかもしれないし。
最も、そうして見せ合う程同僚との仲が良好だったのかどうかとは思うけど」
岬の発言に対し星峰はやや皮肉った様な口調で答える、岬に対して皮肉を言っている訳ではない。その皮肉はあくまでブントに対してである。
岬も其れは承知している為、あえてその点に触れはしないものの星峰に皮肉った言い方をさせるこのパソコンには何かあるのではないか、そう思わずにはいられなかった。
「このパスワード、何とかして解明出来ないかしら?」
内面の疑問故か岬はそう呟く、だが天之御が
「個人のパスワードとなるとその個人の性格が出るからね、いい加減な奴であれば可能かもしれないがそうでなければ厳重に、最悪は機械もろとも消去する様なシステムを組んでいるかもしれない、ハードルは高いね」
と告げ、そのハードルが高い事を知ると
「そうですよね……仕方ありませんよね……」
と後ろ髪を引かれる様子ではある物の断念する。その後部屋を出た一同は他の部屋も調べてみるものの、同じ様に私物と端末が置かれているだけであった。
私物そのものは一部屋ごとに異なり、それが此処に複数の生命が居た事、それが恐らく職員であり、此処が宿舎の様な場所である事は容易に想像出来た。
すると豊雲が
「そういえば、此処の様に隠されてはいませんが、ワンカーポの地下にもここと似た様な箇所が数日前に発見されました。其処も恐らくは在住者の個室だと思うのですが……」
と思い出した様に発言する。
「ワンカーポの地下にもここと同じ様な場所があるって事?まあ、施設であれば管理する生命が寝泊まりする部屋位あっても不思議ではないけど、もしそうだとしたら」
「ここも同じように管理されていた。それもワンカーポの地下と同様に……となると、同等規模の恐ろしい何かが眠っている可能性も出て来るね」
一同の脳裏には嘗てワンカーポ地下にて車両を破壊し、高飛車に笑う女指揮官の人族が浮かんでいた、もしかするとこの施設にもそれと同等レベルの危険な存在が居るかもしれない、それは一同に警戒心を抱かせるのに十分すぎる理由であった、。
「だとしたら、猶の事こんな所でぐずぐずはしていられません、急ぎましょう!!」
空弧がそう言うと一同は部屋の外に出て更に施設を探索していく。
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