第592話 錯綜する狡猾
「ところで、コンスタリオ小隊の処遇はどうなるのですか?命令に違反した以上、何かしらの罰則は避けられないのでは……」
此処で空弧が不安げな声を上げ、コンスタリオ小隊の安否を気遣う。
自身の中にスターの記憶がある事がそうさせるのか、それとも純粋に心配しているのか、それは空弧自身にしか、否、或いは空弧自信すらも分かっていないのかもしれない。だがそれを聞いた涙名は
「大丈夫だよ、ブエルス防衛部隊の総司令官が上手く手を回して今回の件は不問となる様に手を回してくれてる。最も、それに一番納得しないのは彼等自身かもしれないけどね」
と空弧を安心させるように優しい言葉をかける。
涙名の言葉を聞き、空弧は不安げな顔ではなくなるが同時に
「手を回すって、一体どうやって?」
と代わって疑念を顔に浮かべる。すると星峰が
「キャベル総司令官とブントの具体的な繋がりを示す証拠を総司令官が抑えてくれたのよ。それを握っている限り、キャベル内のブントは迂闊な行動はとれないししてこないでしょう。あくまでコンスタリオ小隊を取り込む事が目的である以上、ブントの事を知られたら一巻の終わりだもの」
と続ける。それを聞いて星峰は
「それは……そうかもしれませんが、そうだとするとその防衛部隊司令官の身が危ういのでは……」
と違う不安を声と顔に浮かべる。
「確かにその点はあるね。だからこそそこは化かし合いと出し抜きの綱引きになる。
此方が先にブントに仕掛けるか、それとも司令官の身に危険が及ぶのが先か……だからこそ、この転移技術をブントに渡す訳にはいかない。
此方もブエルス防衛部隊司令官の身に何かあったら一気に危険な状況に雪崩れ込んでしまう可能性がある事は常に考えておく必要があるよ」
天之御はそう言い、決して今の状況が楽観出来るという訳ではない事を間接的に告げる。
「司令は私も随分お世話になったからね、こんなつまらない奴等の為にその命を散らせて欲しくはないわ。いざという時は……」
星峰がそう言いかけると天之御は
「そこまでだよ星峰、此れは君だけの話じゃないんだ。
くれぐれも先走らないようにね」
と星峰を宥める様な、諭す様な言葉をかける。すると星峰は
「そうね、変に気負う必要は無いわね」
とその言葉に納得した表情を浮かべる。
「ところで、彼等自身が一番納得していないというのは?」
心配に一段落付いたのか、空弧がふとそう質問する。すると星峰は
「コンスタリオ小隊はそういう面々なのよ」
と何処か嬉しそうに告げる。
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