第543話 三つ巴の様でそうではない?
「魔神族!?しかも彼奴って……」
岬が兵器を破壊している光景を見て動揺を隠せないモイス、其れも仕方ない部分はある。今の今までモイスは、否コンスタリオ小隊はこの兵器と魔神族が何処かでつながっていると思っていたからだ。それは兵器が独自の動きを見せてからも内心のどこかで思い続けていた、それが今、目の前で覆されているのだから。
「ど、どうなっているんですか?魔神族が兵器と戦っている……」
そういうシレットの視線の先には前線を展開し、兵器を迎撃する魔神族部隊の姿があった。どうやら岬が指揮を執っている様だ。
「どうする!?魔神族は俺達に気付いていないようだが気付いたら攻撃してくるかもしれねえ」
先程までは勢いがあったモイスの言葉にも警戒心が途端に入り込む、無理もない話であった。
前回の交戦時、コンスタリオ小隊は岬を始めとする魔神族にまるで敵わず惨敗を喫してしまった。警戒心が強くなるのも当然であった。
「こちらに攻撃を仕掛けてこないとも限らない……だけどここで退いては兵器を抑え込むチャンスを逃す事になる。止むを得ない、今は兵器の相手に集中して!!
魔神族の相手は最小限に抑えて!!}
コンスタリオはそう言い、あくまで敵は兵器であるという考えの元、迎撃態勢を取って交戦を開始する。だがこの時コンスタリオ小隊は気付いていなかった、コンスタリオがその声を上げた瞬間、岬が密かに穏やかな笑みを浮かべていた事を。
コンスタリオ小隊は魔神族部隊を警戒しつつも兵器と交戦し、その侵攻を食い止めていく。一見すると三つ巴の構図だ。だが魔神族は明らかに兵器のみを狙っていた。
当然コンスタリオ小隊もそうではないかと言う疑問は抱くものの、それが偶然なのか狙っての事なのかは分かる筈も無い。
「魔神族までいるとは……一体ここで何を!?」
両手から魔法で雷を放ち、兵器を破壊しつつも警戒心が解けないシレット、それが心の隙となったのか遠くから兵器がシレットを捉え、構えた機関銃を乱射してくる。
「!!しまった……この距離じゃ……」
シレットはそう言いながらもなんとか機関銃を避けるものの、続けて放たれる機関銃に回避だけで手一杯になってしまう。
「くっ、此れでは反撃に移れない……」
そう内心で思ったシレットであったがその時、魔神族の放った妖術の球が兵器の機関銃に当たり、その機関銃を破壊する。
「えっ!?どういう事なの……」
魔神族に助けられたかのように見える構図に困惑を隠せないシレットだが、取り敢えずはその状況を利用し、兵器の機関銃から逃れる。
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