第542話 無限を断ち切る者

「って事はつまり、大本を探し出して叩かない限り……」

「ええ、無限に湧き出てくる可能性も無いとは言い切れないわ。だから飛空艇の望遠機能を使って捜索しているのだけど、敵の範囲が多すぎて絞り込めないの」


シレットの焦る声に対し状況の打開策を探っている事を告げるコンスタリオ、だがそう簡単に打開策等見出せる筈も無く人族部隊は再び数に推されて劣勢に陥り始める。


「くっ、このままじゃ本当に突破されちまうぞ!!何とか……」


モイスが焦った声を思わず口に出すがその瞬間コンスタリオが


「したいのは分かっているけど……え!?待って、これって……」


と何かに気付く。


「どうしたんですか?」


防衛部隊指揮官がコンスタリオに問いかけるとコンスタリオは


「後方の特定のエリアからいきなり敵数が減り始めたわ。でもその周辺で人族部隊は確認出来ないの」


と説明する。それを聞いたシレットは


「つまり、そこで何かが起こっているって事ですか!?」


と問いかけ、コンスタリオは


「それは間違いないと思う。しかもそれはそこだけの話じゃない。そこから更に前に進みつつあるの!!」


と言い、その個所から徐々に兵器の数が減りつつあり、押し返されているという事を告げる。


「ならそこに行けば打開策が見つかるかも知れないって事ですか?」

「断定は出来ないけど、可能性はあるわ!!」

「なら行ってみるしかないか!!」


コンスタリオ小隊の意見は一致し、全員でその兵器が減少しているエリアを目指す事を決める。


「分かりました、防衛は我々が死力を尽くします、どうかお気をつけて!!」


防衛部隊指令のその声を合図にコンスタリオ小隊は戦闘宙域を突破し、一直線に向かっていく。その最中に立ち塞がる兵器を薙ぎ払いつつ先へと進んでいくとその途中でコンスタリオは


「兵器の数は更に減少しているわ、これだけの数を押し返しているとなると単なる偶然や自然現象ではない何かが起こっているのは間違いないと思う」


と告げ、この状況が決して偶然ではない事を確信する。そして先へと進んでいき、減少していく兵器との場所に遂に合流する。するとその瞬間コンスタリオは


「一体これは……どういう事なの!?」


と言わずにはいられない光景を目撃する事になる。一同の目の前には兵器の残骸が転がっており、その中から例の黒い靄が立ち込めていた、だがコンスタリオが注視したのはそこではない。それを行っているのが魔神族の部隊、それも


「たあーっ!!」


と言う声と共に格闘術で兵器を破壊する岬であったからだ。

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