第536話 アルファタウン内部へ

「さあ、早速行くわよ。当日中に戻らないといけない以上、余り時間はかけられないんだから」


コンスタリオはそういうとシレット、モイスを連れて地上に降り、そのままアルファタウンへと入っていく。その急ぎ用は本当に急いでいる一方でシレットの一言で自覚してしまったアルファタウンの印象を払拭する為に駆け足になっているようにも見える。

そのまま街中に入るものの、そこは人通りも少なく賑わいも無い、平時の街にしては静かすぎる空間であった。


「もう真昼間なのにまるで夜間みたいですね……このタウンではこれが日常なのでしょうか?」

「敢えて夜に活動してるって事か?まあ、軍隊であれば有り得ねえ話じゃねえけど、住民までそれっていうのは可笑しくねえか?」


シレットがふと一言漏らすとモイスは一部肯定しつつも否定的な発言をする。最も、モイスの疑問も当然ではあるのだがシレットの言う通り、人は疎らにしか見えず、ここだけ深夜なのかと言いたくなる程ではある。

近くを通りかかった住民に対し


「一寸いいですか?」


とコンスタリオが話しかける、するとその住民は


「はいどうぞ」


と返答しコンスタリオ達の方を向く。


「このタウンは何時もこんな風に人が少ないんですか?」


振り返った住民にコンスタリオがそう尋ねるとその住民は


「ええと……何故そんな事を聴くのです?」


と問い返してくる。それに対しコンスタリオは


「それは……そうですね。このタウンが今後の戦いにおいて重要な意味を持ってくるかもしれませんので今の内にタウン内の内情を知っておきたいと思ったんです」


と真実とも虚言とも取れる発言でその場を凌ぐ。それを聞いてその住民は


「そうですか……ですが私は軍隊ではありませんので良くは知らないんです。あの施設に居る軍隊の方であれば何がご存知かもしれませんが」


と返答する。それは親切な返答とも単に面倒だから投げているともとれる返答であった。それでもコンスタリオは


「そうですか……ありがとうございます」


と感謝の意を述べて頭を下げ、その住民はその場から去っていく。


「あの施設って……あそこにある基地司令部の事か?」


住民が指差した方向には如何にもな建物が建っており、それを眺めながらモイスが言う。続けてモイスとシレットも同じ方向に目を向け


「ええ、今の所あそこにしか手掛かりは無さそうね。行ってみましょう」


とコンスタリオが告げた事で次の目的地はその施設に決まる。だがコンスタリオの内心にはどこか言い知れぬ不安感、違和感があった。

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