第534話 風の噂が流れる先へ
「問題はこの噂が流れているタウンがどこのタウンなのか、その点がはっきりしないっていう点だな」
「ええ、ただ、松波街の噂が流れているとなると可能性としては人族側のタウンの方が高いと思うわ。もし魔神族側だとすれば共闘ではなく内乱等の単語を使うと思うの」
モイスの提示した問題点に対するシレットの回答は的を得ており、反論の余地はなかった。そしてそれについてはコンスタリオも首を縦に振る。どうやら同意している様だ。
「松波街の周辺にある人族部隊のタウンは全部で三つ、この仮説が正しければこの中の何処かにスターが入り、この噂を耳にしたと言う事になる。
現在のスターの体は魔神族だから直接正面に出る事は出来なかったけど何とかその事を伝えたかった、そんな所でしょうね」
コンスタリオが分析したてた仮説をシレットとモイスは黙って聞いて頷く。どうやら異論は無い様である。最も、それがあった所で他に考えられる道も無いが。
「三つのタウンはどれも松波街に比べれば規模は小さく、軍事的にも余り重要な位置は占めていない。故に魔神族も放置しているのか、それとも何か狙いがあるのか……」
三つのタウンに対しての意見を述べるコンスタリオ、するとシレットは
「なら、私達が出入りする事でその狙いを探る、或いはけん制する事にもなるのでは?」
と提案とも疑問ともとれる発言をする。それを聞いたコンスタリオは
「そういう見方も出来るわね、ならそれを採用していきましょう」
とシレットの提案を採用する旨を告げる。それを聞いたシレットは嬉しくなったのかその顔に満面の笑みを浮かべる。それを見たモイスも思わず笑みを浮かべる辺り、シレットの考えに同意している様だ。
「三つのタウンは規模の小ささ故なのか未だ名前も決まっていない。でも名前が無いと呼びにくいから便宜上ガンマタウン、ベータタウン、アルファタウンと命名するわね。
三つのタウンはそれぞれ松波街を中心に三角形に配置されており、距離も大体同じ位。故に何処から調べても可能性は等しくあると思うわ」
「ならまずはアルファタウンから調べてみませんか?三つの中で此処に一番近い位置にあるので万が一何かあった際にも対応しやすいと思うんです」
コンスタリオがどこから調べるか問いかけるとシレットはそう提案し
「俺も同意見だ。魔神族が仮に放置しているのだとしてもこちらの動きに合わせて何かを仕掛けてくる可能性は否定出来ねえ」
モイスもシレットの提案に同意する。
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