第533話 伝聞の示す先
そんな星峰の顔を見た涙名は
「そう、なら取り敢えずの間は問題なさそうだね。なら、今の僕達がするべき事は……」
と言いながらその視線を天之御へと向ける。涙名の視線を見た天之御は黙って頷き、それに合わせる様に他の面々も首を縦に振る。
一方、此処で議題に上がったコンスタリオ小隊はと言うと先日の松波街部隊について引き続き調べていたものの、新たな手掛かりを得る事は当然ではあるが出来ずにいた。
「これだけ調べているのに松波街の部隊とスt-あの体を使っている魔神族がどういう関係にあるのか分からない……でも!!」
少々苛立ちを覚えているかの様な口調で話すコンスタリオ、だがその後に続く言葉はそれが決して苛立ちではなく、寧ろ確信に近い事を証明するかの様な口調へと変化していた。
そんな彼女の元に一通の連絡文章が届く。それを確認するコンスタリオ、だが次の瞬間その顔は驚きの物へと変わる。
「えっ!?このタイミングで……」
それは願ってもないスターからの連絡であった。直ぐに中身を確認しようとするコンスタリオ、だが今回は違った、その逸りそうになる気持ちを抑え、シレットとモイスを呼びに行く。
スターからの連絡が来た事を聞いたモイスとシレットを連れて部屋に戻って来るコンスタリオ、そしてその連絡文章を開く。
「本当ですね……スターの名前で入ってる。それにこの文章の構成も限りなくスターに近い」
「ああ、もし成り済ましならここまで精密に複製する事は困難だと思えるレベルだ」
その文章を見たモイスとシレットは口々にそう言い、その文章がスターから来たものであると言う事を確信する。その文章の内容は
「先日立ち寄ったタウンで妙な噂を耳にしました。自分が松波街の防衛部隊と共闘し魔神族部隊を退けたというのです。
無論それが自分の肉体を使っている魔神族であると言う事は自分自身が一番良く分かるのですが、それにしても何故魔神族が松波街と共闘したのか……その点を調べる為にももう少し踏み込んだ調査が必要な様です。なのでまだ暫くは顔を合わせる事は申し訳ありませんが出来ません」
と書かれていた。その文章を見てシレットは
「噂とはいえ、この共闘の話が松波街以外のタウンにも広がっているのは確かな様ですね」
と言葉を漏らし、それに続ける形でモイスも
「ああ、この噂が流れているタウンに行けば今のスターについて何かつかめるかもしれねえ」
と話す。だがコンスタリオの内心には
「或いはそれを狙っているの?スター……」
と少々ではある物の疑念も芽生えていた。
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