第511話 三度の戦禍
「冗談だとしても笑えない話ね。本部の技術は今まで門外不出の物であり、それを出さざるを得ないところまで私達の状況は悪くなっているのよ。
此れと言うのも全てあの魔王のせいでね!!」
露骨に不機嫌な声を上げ、イライラを見せるアンナース、その姿はコンスタリオ小隊の前では決して見せないのだろう。単に猫を被っているのとも違う何かが確実にアンナースの姿を異質に見せていた。
「現状を打開する為にはあの魔王を倒す事が絶対条件……であれば何とかしてコンスタリオ小隊を取り込みたい所ですが、其れを阻むのが先日の奪回。
此方の状況は徐々に不利になっていきますね……」
司令も又、この状況に感じている焦りを隠さない。それだけこの状況が彼等にとって望ましくないのだろう。そして翌日、その状況に追い打ちをかけるかのようなサイレンが鳴り始める。
本部内に突如としてなり始めたサイレンに急ぎ司令室に入るコンスタリオ、すると中ではすでにアンナースと司令が状況の確認をしていた。
「このサイレンは一体何なんです!?」
コンスタリオが司令とアンナースに同時に問いかけるとアンナースは
「例のオアシス地下より機動兵器が多数出現したとの連絡が入りました!!状況から考えてその兵器を用いているのは魔神族ではなく、地下遺跡で遭遇した防衛兵器と思います」
と返答するものの、その顔は明らかに焦燥を浮かべていた。
「防衛用の兵器がどうして地上に侵攻してくるのよ!?」
シレットが大声で疑問を口にするがコンスタリオは
「それは現場に行って確かめるしかないでしょう。司令、オアシスに駐在している部隊はどうなっているんです?」
と現地の状況を確認する司令官としての役割を果たそうとする。だがその問いかけの返答は
「完全に想定外の不意を突かれた形となった為、反撃に転じるのが遅れ劣勢に陥っています。負傷者も少なからずおり、このままでは全滅も考えられます」
と言う非情な物であった。それを聞いたコンスタリオは
「分かりました、では直ぐに救援に向かいます!!」
と告げ、司令室を後にしてモイス、シレットと共に飛空艇に乗り込んで急ぎオアシスへと向かう。
「そんなに急いでどうしたんだ!?何時もならもう少し……」
コンスタリオの性格を知るが故の疑問がモイスの口から出る、だがコンスタリオは
「幾等不意を突かれた形であるとはいえ、オアシスに駐在していた部隊は相当な規模だったわ。にも拘らず劣勢に陥っていると言う事は……」
と告げ、暗に嫌な予感を感じ取った事を伺わせる。
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