第504話 包囲網の魔手
星峰がそう告げた直後、ブエルスの城内部に警報が鳴り始める。
「……言ってる傍から来たのかもしれないわね」
自身の発言直後に警報が鳴った事に少々呆れ気味な声を出す星峰、それに空弧も黙って同意しているのか、同じく呆れた顔をして頷いている。その直後天之御が至急全員に集まる様に城全体に連絡を入れ、それに従う形で全員が謁見の間に集まる。
「皆、さっきは休んでほしいって言ったけど、突然すまない。西大陸から人族部隊の出撃が確認されたんだ。それもローティータウンからね」
と告げる。それを聞いて一同は顔色を変える。
「ローティータウンって、確か……」
困惑した表情で岬がそう告げると天之御は
「そう、現状西大陸でもっとも大きな街であり、事実上の首都と言っていい街だよ。そして、それは同時にそこが西大陸最大のブントの拠点であることも表している」
と続ける。首都の部隊がいきなり動いてきたのだから一同が困惑するのも無理はないと思われたが
「しかし、ローティータウンが表立って動いてきた事は今まで無かった事だ。それが動いてきたと言う事はつまり、それだけの事態が生じたのか、それともそうしなければならなくなったのか……」
と続けて話す八咫の言葉に現れている様に一同の困惑は部隊が動いてきた事曾於物に現れていた。
「しかもその秘密主義は外だけでなく中にも向けられている。それ故に人族側の協力者たちもローティータウンについては殆ど情報が得られていないのが現状なんだ」
天之御もそう続け、ローティータウンの秘密主義が相当な物である事を裏付ける。
「その秘密主義者が遂に動き出したって訳ね……で、その侵攻先は?」
「断定は出来ないけど、方角から言ってマルセールタウンの方に向かってる。だとするとその狙いは……」
「マルセールタウン周辺のこちらの街を奪回するつもりかもしれないわね」
星峰の問いかけに天之御が答えると、その返答から星峰はそう結論付ける。
「マルセールタウン周辺の街を奪還?それに何の狙いが……」
「一気に勢力を拡大してマルセールタウンを包囲し、機密が外に漏れないように蓋をするのが狙いなのかもしれない。だとすると、マルセールタウン付近に近づけるだけで厄介な事になるわね」
冷静に状況を分析する星峰だが、その分析は的中していたら危険極まりない物であった。だが其れを否定しきる事が出来ず、天之御もその顔に危機感を募らせる。
「だとすると、最も最善の策なのは……」
「可能な限り接近させずに食い止める事ね」
最善の策を考える天之御に星峰はそっとそう告げる。
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