第417話 私達は何?

モイスの発言の事を気に留めつつもコンスタリオは動き始めた機械を操作する。その目的は勿論データルームの捜索だ。だが程無くしてその必要は無かった事を知る事になる。この部屋こそがそのデータルームだったからだ。それを裏付けるかのように様々なデータが今動かしている機械の中に記録されている。


「ねえ、かなり重要な物がここにあるわよ。皆来て!!」


それを確認したコンスタリオは他の面々をその場に呼び寄せる。そして集まったのをを確認すると


「此れは……データみたいですね。だとするとこれを調べればこの施設の謎が分かるかもしれません」


アンナースがそう言うまでもなく、既にコンスタリオはデータの解析に着手していた。そう話している時間すらも惜しいと思ったからだ。その懸念が的中したのか、コンスタリオ小隊の背後に又しても先程から何度か交戦している黒い靄の人族と魔人族が実体化する。


「くっ、こんな重要な時に……」


コンスタリオは椅子から立って迎撃態勢を取ろうとするがそこにアンナースが手を出し


「コンスタリオさんはそのままデータの調査を続けて下さい。ここは私が食い止めます」


と言って両手の銃を乱射し、現れる黒い靄を次々に迎撃していく。だが今回は数が多く、アンナース一人では捌き切れる筈も無い。


「くっ、なんて数……それだけの物が此処にあると言う事なの?」


アンナースがそう疑問を口にした直後、靄人族の一体がアンナースに接近して手に短剣を出現させ、それを突き立てようとしてくる。銃の迎撃に神経を向けていたアンナースはそれに気付かず


「くっ、しまった……」


と切られるのを覚悟するがそこに


「たあーっ!!」


と言う声と共にシレットが回し蹴りを繰り出し、その手にしていた短剣を弾き落しつつ続けて腹部にも蹴りを入れて跳ね飛ばす。一方それとは別にモイスも又銃を手に取り、アンナースが撃ち漏らした靄魔神族を撃ち抜いていく。


「あ、貴方達……」


アンナースが少し驚いた声を出すとモイスは


「遠慮すんなって、仲間ならこれ位は当然だろ」


と、シレットは


「モイスと同じ意見よ。一人で全部やる必要は無いんじゃない?」


とそれぞれアンナースに告げる。それを聞いたアンナースは


「……ありがとう」


と少し笑みを浮かべる。これで勢いがついたのか三人は残る靄人族、魔神族を瞬く間に蹴散らしていき、全滅させることに成功する。全滅させた事で三人はコンスタリオの方を向き


「どうです?データの解析は出来ました?」


と問いかけるがそれに対する返答は


「な、何よ此れ……」


と言う予想とかけ離れた物であった。

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