第416話 赤い地獄
辺り一面血に塗れており、見ているだけで正気を失いそうな光景が広がるが、それでも一同は理性を振り絞ってその現実を直視する。否、目を閉じると尚更理性が壊れてしまうから開けていると言った方がいいのかもしれない。するとモイスがある事に気付き
「この血……あの扉の前から特に飛び散ってるぜ……」
と言って大広間から繋がるある部屋へと向かっていく。その後を付いていくと確かにモイスの言う通り、その扉の周囲は他の扉に比べて明らかに血が多く飛び散っていた。
「ここだ……開けるぜ」
モイスはそう確認し、他の面々も頷く。この部屋がこの光景である以上、子の奥の部屋がどんな状況になっているのか想像も出来なかった。そして扉を開けるとやはりというか、そこも又夥しい血が飛び散り、更にガラス片が木の葉の様に散乱していた。
「何なの此れ……血だけじゃなくガラス片まで……」
光景に唖然とするシレット、そこにアンナースが
「どうやらこのガラス片はこの部屋に置いてあったカプセルを破壊した時に飛び散った様ですね。部屋のあちこちにカプセルの残骸が確認出来る事からも確認出来ます」
と冷静さを取り戻した声で告げる。
「カプセル?この部屋のあちこちにある金属で固定されたあれの事か?」
モイスはそういうと天井と床に繋がれている装置らしき物を指差し、アンナースはそれに対して頷く。更に
「ええ、以前調査した別の先史遺産の遺跡でも同じような物を確認しましたから。最も、そちらも破壊されていて結局何の為に作られた物なのかと言う点については分かっていません」
と明快に続ける。その後一同は部屋の中を調べるものの、既に破壊されている事もあり、ガラス片以外に何かを見つける事は出来ない。データを記録している様な端末もなく、仕方なく元来た扉を戻って別の部屋を調べに行く。
次にコンスタリオ小隊が入ったのは今の扉の右隣にある扉だった。そこは大広間や先程の部屋とは対照的に殆ど血に塗れておらず、部屋の中にある機械も電源を入れると作動した。
「電源は入った……か。でもどうして誰もいない施設の電源が入りっぱなしになっているのかしら?」
「切るのを忘れたまま出ていった……って、そんな訳ねえか」
シレットが疑問を口にするとモイスはふざけたのか素なのか分からない発言をし、シレットは呆れた顔を浮かべる。だがコンスタリオは
「先程の血塗れを合わせて考えればモイスの返答も強ち的外れでもないかもしれない。但しその場合切り忘れたではなく切れなかったになる」
と内心ではモイスの仮説が当たっている可能性を考えていた。
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