第387話 一人の女性 コンスタリオ

漠然とした嫌な予感を抱えながら、コンスタリオは拠点エリア内を歩き、他にも様々な店、施設があるのを見つけていく。その光景は戦時中であることを忘れる程にゆったりとした平穏な物であった。


「こうしていると戦争という物を忘れていきそうね。いえ、それを目指すのが私達の役目なのでしょうけど」


目と首を動かしながらコンスタリオはそう呟く。そしてそのまま決意を新たにするのであった。だがその新たにする気持ちは先程の懸念を振り切りたいと思う様な、ただ純粋に決意を新たにすると言った類の物ではない。その内心の葛藤を振り切りたい、そうした思いもあっての物であった。彼女自身、それを分かっているからこそ口に出さずにはいられなかった。

其れからコンsヌタリオは店や施設に入り、その中を見て回る。折角だから何か買い物でもしていこうかとふと思ったのだ。そして中で服や雑貨を数点購入し、そのまま拠点内の部屋へと戻る。


「ふふっ、こんなに戦いから離れたのは本当に久方振りね」


部屋に戻ったコンスタリオの顔からは買い物を楽しんだ女性の嬉しさが感じられる。今この瞬間は本当にコンスタリオは戦争から解放されているのだろう。だがその気持ちも表情も直ぐに戦場へと戻される事となる。部屋に置いてある端末の電源を入れるとスターから返信が来ていたからだ。


「スター……こんなに早く返信をしてくれるのにどうして姿を現してくれないの?自分がどうなっているかを知られたくないの?」


その通達を見たコンスタリオの表情は先程から一転して哀愁を帯びた物となる。スターが姿を見せてくれない事に対する哀しさなのか、不満なのか、それは本人にも分からないものになっていた。


「……さて、私情はここまでにしないとね!!」


コンスタリオは顔を叩き、自分にそう言い聞かせるとスターからの返信に目を通す。


「コンスタリオ隊長、自分は現状、皆さんの前に姿を現すことは出来ません。ですが魔人族の内部を見つめる事により、必ずしも全ての魔神族を倒す必要が無いかもしれないと言う事は分かってきました。

魔神族の内部に、いえ、この戦争自体に何か裏がある、その可能性が分かってきたのです。もしかするとコンスタリオ隊長が指摘されている腑に落ちない点はその裏に潜む何かが関与しているのかもしれません。

又何かわかれば必ず連絡します」


スターからの返信にはそう書かれていた。それを見たコンスタリオは


「戦争自体に裏?もしかして私の感じた嫌な予感は……」


と飛躍した予想を浮かべるのであった。

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