第386話 私の記録と架空の記録

「それはそうですが、一体如何して貴方がそれを?」


親し気に話しかけられ困惑するコンスタリオであったが、それ以上に気になったのはこの人族が何故そんな事を知っているのかであった。その人zの句は少なくとも見た目は建設作業員であり戦闘員ではない。にも拘らず何故自分たちの戦いを知っているのか、その点に疑問を抱かずにはいられなかった。だがそれに対する返答は


「ああ、それはここにおいてある機械の開発元さんが色々話してくれるんですよ」


と言う簡単な物であった。だが当然それにも


「機械の開発元?この中に入っている機械を作っている会社がって事なんですか?」


と言う疑問は浮かんでくる。それに対し作業員は


「ええ。何でも戦場をリアルに体験できるシュミレーターで軍隊への適性検査や兵士の訓練にも用いられてるって話です。まあ、娯楽にもある程度なるのでこうした場所にも置いてあるって訳です。

で、それでですね、このシュミレーターに収録されている戦場の中の幾つかがコンsヌタリオ小隊の戦いをモデルにしたものであるって話なんですよ」


と明快に答える。それを聞き、コンスタリオは


「成程ね……」


と納得塩田顔を浮かべるもののその内心では


「と言う事はつまり、私達の戦いを外部の企業に報告している存在が居る可能性があるって事ね。もしかして私の中にある疑問を解き明かすにはこの謎を追うのが一番早いのかしら?」


と完全には納得しておらず、疑念を抱いている。


「じゃ、ここは娯楽施設であると同時に兵士の適性を図る試験場でもあると言う事なんですか?」


コンスタリオが尚も作業員に訪ねると作業員は


「たぶんそういう事になると思います。自分は末端なもんであまり詳しくは聞いてないんすけど、それでもその位は想像出来るっすよ」


とあっけらかんとした口調で答える。その返答にコンスタリオは


「ありがとうございます。機会があれば私もプレイしてみたいものです、そのシュミレーター」


それだけを告げるとその場を後にする。それを見届けた作業員は


「……貴方方にシュミレーターは必要ないでしょうに」


と意味深な発言をしたのち、遠くから聞こえてきた呼び声に反応してその声が聞こえてくる方へと走っていく。一方、その場を後にしたコンスタリオは


「私達が経験した戦いを基にしたシュミレーター、そんなものが作られていたなんて……新戦力の補充は嬉しくはあるけど、なんでかしら、手放しで喜んでは居られない様な気配を感じるわ……」


とどこか嫌な予感を感じずにはいられなかった。

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