第382話 星峰の決意
「今回の兵器を破壊するに至って、星峰さんの力が仮に作用していたとして、それが具体的にどのような結果でそうなったのかは分かりません。ですがもし仮にそうだとすれば……」
「星峰の存在が今後あの兵器と戦う時の戦況を左右しうる事もあり得る……だね」
霊諍と天之御はそう言いながら星峰に視線を向ける。この状況下でこうした発言をするのは更に星峰を困惑させかねないからだ。二人ともその事は重々承知はしている。だがそれでも明言化しなければそれを伝える事は出来なかった。
しかし、その言葉を聞いた星峰の顔は
「私が……戦況を左右しうる……」
と言う声と共に何処か安堵した、否自信に満ちた物になる。
「星峰……」
その顔が無理をしているように映ったのか、空弧は星峰に対し案ずるような声をかける。だがそれに対して星峰は
「大丈夫よ空弧、今の言葉で気付けたわ。私の力がどんな物なのかは分からない。恐らくは貴方も知らなかったのでしょう」
と穏やかな口調で返す。それに対し空弧は
「ええ……私自身も知らなかったの。あの力……」
とその事を素直に告げる。その返答に対し星峰はどことなく合点が言った様な顔を浮かべる。寧ろその返答に困惑していたのは他の面々であった。星峰と空弧の事情を知っているだけにその困惑は余計に大きな物となる。
「でも、それで戦況を変える事が出来るのなら、あの兵器に対し有利に戦う事が出来るのなら、私はその力を使う事を躊躇いはしない!!」
星峰のその言葉は穏やかながらも強い物であった。その言葉に意志の力が宿っている。そう表現するのが相応しい程の。それを聞いた天之御は
「そこまで言い切れるって事は大丈夫みたいだね。これからも宜しく頼むよ」
と優し気な言葉をかける。それを聞き星峰も
「ええ、安心したわ。これまでと違う扱いになるって事は無さそうで」
と軽い口調、だが其れとは裏腹に強い決意を感じる返答で返す。
「当たり前だよ。第一、それを言ったら僕は魔王と言う名前が最も相応しくない存在になる。特別扱いの不快感は分かっているつもりだよ」
そう混ぜっ返す天之御の言葉も又、軽くはあるが強い意志を感じさせる物であった。それに対し周囲も頷いている。恐らくそれは自身の経験に裏打ちされた物なのだろう。
「で、話が纏まった所で解析結果の報告を再開してもいいですか?」
霊諍のその言葉を聞き
「え!?ええ、ごめんなさい、脱線しすぎたわね」
と少し恥ずかしげな声で星峰が再開を促す。
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