第368話 不服の理由
「それを態々聞くって事は、納得の行く様に説明して頂けるんですか?」
不服そうな顔を崩さないままにそう語るシレット。相手が部隊の隊長でなければ食って掛かっていそうな雰囲気を醸し出している。それはモイスも同じであった。
「まず何から説明してほしい?」
コンスタリオがそう問いかける。
「さっきの作戦で最後にあっさりと引き上げを受け入れたところから説明して頂けますか?」
変わらず不服そうな顔を続けるシレット。返答次第ではあなたと言えどもただでは済まさないとでも言いたげな顔をしている。その顔に対しコンスタリオは
「分かったわ。さっきの指示を私が受け入れた理由、それは今回の作戦が余りにも上手く行き過ぎているからよ」
と語り、その顔を真剣な物へと変える。それを聞いたモイスとシレットは表情を一瞬困惑した物に変える。二人にとってこの回答は予想外の物だったのだろうか。
「上手く行き過ぎているって、それはどういう事なんだ?」
ラフな口調とそれに似合わない困惑した表情を浮かべるモイス、そんなモイスに対しコンスタリオは
「今回の作戦、初めから妙なのよ。突然奇襲の要請が来てそれが見事に上手く行き、その上で戦力が穴だらけで労せずに司令官の元に辿り着くことが出来た。
そして兵士が司令官の逃走を予測し、それが見事に的中して司令官確保。
作戦が見事だと言ってしまえばそれまでなんだけど、どうにも私にはそうは思えない。まるで初めからそう計算されていたかの様に思えるの」
と自身が感じていた疑問を打ち明ける。それを聞いたモイスも
「そう言われれば確かにそうだな。だけどよ、もし仮に計算されていたとして、何でそれが最後の最後の決定に繋がるんだ?」
と部分的には納得するものの、まだ細部には納得がいっていない様子を見せる。コンスタリオは更に
「この作戦が計算されたのだとしたら目的は街そのものの奪還だけではなく、何か他にもあるのかもしれない。そしてそれを知る為には敢えて泳がせてみるのが得策だと思ったのよ」
と続ける。
「自由にさせてみる事でその狙いが分かるかもしれない、そういう事ですか?」
シレットの問いかけにぅなずくコンスタリオ。そう話している間に彼らの乗る飛空艇は拠点へと帰還する。モイスとシレットはとりあえず納得したのか、飛空艇を降りるとそのまま自室へと戻っていく。そして同じく戻ったコンスタリオだが椅子に座った直後
「二人の疑念も最もね……あそこに何があるというの?」
と自身も納得がいっていない部分がある事を垣間見せる。
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