第361話 新たな決意へ
「そうね、その為にもまずは早く傷を癒さないと」
モイスの声を聞き、同じ様にいきり立ちこそしない物の同じ決意を秘めた静かな声でコンスタリオも同意する。それにはシレットも同意しているのか、口を刺し挿むことなくそのまま黙って頷く。
「さあ、そう思うのであればそうして下さい」
三人が頷くと直ぐ傍で立っていた看護師が手を叩いてそう告げる。話に夢中になっていたが、気が付くと結構な時間が過ぎていた。看護師はそれを半分呆れている様だった。それに気が付くとシレットは
「そうですね、ではそうさせて頂きます」
と呟き、その瞳を再び閉じる。それに続くかの様にモイスとコンスタリオも瞳を閉ざし、そのまま安息の闇へと身を委ねる。
一週間後、コンスタリオ小隊の経過が良好であった為前線復帰が決まり、早速その事を司令に報告しに行く。何時もであればこれはコンスタリオ一人で行うのだが今回はその後に状況整理がある為、シレットとモイスも同行している。その方が早いと判断した為だ。コンスタリオ小隊が司令室に入ると司令は
「コンスタリオ小隊の皆さん、此方の予想より早い復帰ですね。流石です」
と感心した様子で話してくる。その語りかけにコンスタリオは
「有難う御座います。で、状況はどうなっています?」
と感謝の言葉を述べつつも戦況を教えてくれるよう促す。すると司令は
「あれから一週間経ちましたが、特に魔人族に動きはありません。例のオアシス地下遺跡についても防衛戦力を展開し、且つ調査も続けさせていますが我々が既に交戦した兵器と同型以外に目ぼしい収穫は得られていません」
と現状を説明する。
「分かりました、で、他の地域は?」
コンスタリオが他の地域について問いかけるが司令の返答は
「そちらについても同様です。現状魔人族が更に侵攻してきたという情報は入っていませんし他の大陸においても襲撃を受けたと言う話はありません」
と言うオアシスの現状と同様の物であった。それを聞いたコンスタリオは
「分かりました、ありがとうございます」
と告げて司令に一礼しその場を後にする。モイスとコンスタリオも同様に一礼すると司令室を後にし、そのままコンスタリオの部屋に集まり、予定通りに会話を始める。
「一週間経つのに動きは無し……か」
「不服なんですか?」
コンスタリオの呟きで会話が始まるとシレットがそう問いかけ、それに対しコンスタリオは
「それは貴方も同じじゃないの?」
とシレットに返す。するとシレットは
「ええ、その通りです。一週間経つのに動きが見えない、不可解すぎます」
とその返答を肯定する発言をする。
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