第304話 順調すぎるが故に
司令の指示を受けた部隊は早速出撃準備を整え、直ちに出撃する。その構図は飛空艇に乗るコンスタリオ小隊が先行し、他の部隊が後から地上移動車で追随する構図であった。
先行する飛空艇が魔神族部隊の侵攻を感知し、部隊は交戦体制を取る。
「敵の規模は都市一つを侵攻するには十分な数ね。だけど……」
「ええ、居ないわね」
魔神族部隊を確認して居ない事を確認するシレットとコンスタリオ、その居ない存在とは魔王の側近であった。
「別動隊でも居るのか?」
モイスがそう呟くとコンスタリオは
「確かにその可能性はある。でももし違ったとしたら?魔王の側近が大規模都市への侵攻を黙ってみているとは思えない。なのに何故?」
と別動隊の可能性を考慮しつつも何処か不自然な点を感じていた。そうこうしている内に飛空艇は魔神族部隊の進路上に移動し、そこで双方は交戦状態に入る。
「既に司令から伝達があったけど改めて説明するわ。現在ここより後方にバガール駐在の迎撃部隊が控えている。だけど敵の規模から考えて防衛部隊で防ぎきれるという確証はない。よってここで少しでも敵部隊を削る。これが今回の作戦目標よ。別動隊が居る可能性も考慮し、深追いはしないで」
コンスタリオは別動隊の可能性も含めて呼びかけ、万が一に備えつつも全体を鼓舞する。それが励みになったのか、その場に居た全員が雄叫びを上げ、気合を入れる。
そして魔神族部隊と交戦を開始する。
正面からぶつかりあう人族部隊と魔神族部隊、一般兵の実力は互角であり、双方に同じ位の負傷者が出て同じ位の離脱者が出ていく。だが実力のある者は別であった。
飛空艇の遠隔操作による砲撃、そして地上での肉弾戦とコンスタリオ小隊はそれらに銃攻撃を駆使し魔神族を蹴散らしていく。
魔神族の数は瞬く間に減っていき、その結果一般兵士同士の戦いの流れも人族側に傾く。だがその順調な戦いは逆に
「どうなっているの?呆気なさすぎる……幾等側近が居ないとは言っても……」
とコンスタリオに不安を抱かせる。
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