第293話 先に手にするために
言い淀んだ返答をする指令に対してアンナースは
「まあいいわ。彼等を戦力として迎え入れる以上こちらもそれなりの応対をする必要はある。まあ、それにしてもこれだけあっさりと引き受けてくれたのは嬉しいわね」
と指令の行動を肯定している様にも少々嘲っている様にも取れる発言をする。だが直ぐに真顔に戻り
「所で……オアシスに先史遺産が出現した事が魔神族の魔王に発覚している可能性はあるの?」
と指令に問いかける。その表情と声に先程までのおふざけの雰囲気は無く、寧ろこれまで見せた事の無い緊張感があった。それを見た指令は
「ないとは言い切れませんね。我々と同様、奴等も繋がっている可能性は十分にあり得ます。それに此方の知らない術で遠方から監視している可能性も」
と可能性が否定しきれない事を口にする。それを聞いたアンナースは
「せっかく此方が先史遺産を入手するチャンスを手にしたのよ。これを逃したら今後の戦況がこちらに大きく不利になる事は間違いないわ。くれぐれも魔神族の動きを見て油断しない様に」
と指令に釘を刺すような言い方をする。
一方、オアシスへの出撃を決めたコンスタリオはモイスとシレット、そして数名の志願兵を連れて問題のオアシスに向かっていた。その途中シレットが
「何故あの兵器の捕獲作戦に参加すると決めたんです?あの兵器は……」
とコンスタリオに問いかけるとコンスタリオは
「危険と言いたいのでしょう。それは分かっているけど、だったら猶の事早く此方の手で押さえる必要があるわ。あれが万が一魔神族の手に落ちたりしたら想像を絶する惨劇になる可能性もある」
「既に魔神族はあの兵器の存在に気付いていると?」
「可能性としては考えられるわ。何しろ奴等はブエルスの時もワンカーポの時もこちらの想像を超える形の侵攻を仕掛けてきた。今回もそれと同じことになる可能性は十分あり得るからね」
と返答と共に自身の内心に抱えている不安感も口にする。そうこうしている内に問題のオアシスに到着する。
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