第277話 見える問題、見えない脅威

天之御の助け舟に応える為か、そこからの星峰と空弧の行動は早かった。誰よりも早く食事を終え、その足で謁見の間に向かう。それに遅れる事数分で八咫や岬、涙名も入ってくる。


「星峰と空弧は早かったね、ま、それに越したことはないけど」


そう言う天之御の顔は素で言っているともそうでないとも取れる顔だった。だが星峰と空弧はそれに気づいているのだろうか?そのまま天之御は


「で、今後についてなんだけどまず現状で発生している問題について少し整理しておくね。現状発生している大きな問題は三つ、西大陸の人族部隊の動き、地下からの亡霊の侵攻、ワンカーポ地下にあったブントの地下通路」

「どれも放置しておくと確実に厄介な事になりそうですね」


天之御の顔は先程と打って変わって厳しさを含んだ物となり、それに引っ張られたのか続けた空弧の顔も険しくなる。


「この中で現状最もこちらから動きを確認しやすいのは人族部隊だというのはみんな分かってるね」


天之御の問いかけにその場に居た全員が頷く。それもその筈である、この三つの中で唯一直接確認出来る位置で発生している問題なのだから。


「という事は人族部隊から対処するのですか?」


岬がそう問いかける。だが天之御の返答は


「いや、現状人族部隊への対処は最も優先度が低くていいと思う。だから先に他の二つ、特にこちらから動きやすいワンカーポについて対応しようと思う」


と岬の予想とは異なる物であった。


「それは何故です?確認出来るのであれば……」


と岬は反論しかけるがそこで星峰が


「いや、確認出来るからこそよ岬」


と制するように発言する。


「確認出来るからこそ……?」


星峰の言葉の真意を計りかねる岬、そこで星峰が


「確認出来る人族部隊は何かしてくれば直ぐに対応出来る。一方で確認出来ない亡霊は下手に藪を突くと蛇を出しかねない。だから現状では最もリスクが低い分tのの地下通路調査を優先するって事でしょう」


と説明し、それに天之御も頷く。それで合点がいったのか、岬も納得したという顔を浮かべる。


「解説してくれてありがとう、既に現地の豊雲に通信を繋いでる」


天之御はそういうと豊雲に通信を繋ぎ、豊雲もそれに応対する。

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