第272話 輝きの疑問
転移後、直ちに臨戦態勢を取り兵器の前に立ち塞がる一同、そんな一同を見て兵器は
「何だ貴様等は……奴等の回し者か?」
「そうであろうとなかろうと、我々の邪魔をするのであれば排除するのみ!!」
と言い、動きを止めて明確に言葉を発するという兵器らしからぬ動作を見せるものの、直ちに攻撃態勢を取って一同に攻撃を仕掛けてくる。
「つっ、言葉はあっても意思や理性はないって訳ね……なら遠慮はしない!!」
星峰はそういうと剣を引いて兵器に向かっていき
「狐妖剣術……青刃の竜巻」
と言ってその名の通り青い竜巻を発生させ、その竜巻に兵器を巻き込んで切り刻む。その風は刃のように鋭く、兵器をいとも簡単に切り裂いていく。その一撃で兵器の集団は見事に瓦礫の山と化す。
「地に足のついていない亡霊が生命を襲うなんて……あってはならない事。せめて安らかに眠りなさい」
瓦礫の山を目の前にそう呟き、両目を閉じる星峰、そんな彼女を見て他の面々は
「凄い……なんて能力……」
と驚きを隠せない。それ程短い間に星峰がつけた力は凄い物なのだろう。だが今の光景を見た空弧、涙名、天之御は気になる事があった。それは今の技を出す直前、星峰の剣の宝石部分の輝きが増した事だ。今回だけではない、以前から星峰が能力を使う度に宝石が輝き、しかもその輝きが回を増す事に強くなっているのだ。星峰がその事に気付いているのかどうかは定かではない。だが彼等にはこれが只の輝きには思えなかったのだ。
「ん、どうかしたの?」
「否、何でもないよ」
普段の言動からは想像出来ない惚けた声で視線に気づいたのか話しかけてくる星峰、それに対し涙名が何でもないと返す。宝石の輝きについては言えなかった。らしくない惚け声が却って鎌をかけているように思えたからだ。
「さて、兵器のデータは全て入手済みだけど、どうする?」
天之御に訪ねる星峰の声は何時もの調子に戻っていた。
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