第249話 迎撃成功
星峰が転移出現した時、人族部隊は明らかに突入態勢に入っていた。そこに突然星峰が現れ、人族部隊は明らかに動揺した素振りを見せる。武器を構えるのが一瞬ではあるが遅れていたのだ。そしてその隙を見逃さなかった星峰はすかさず剣を抜き、前方を切って衝撃波を放つ。その放たれた衝撃波は人族部隊を吹き飛ばし一掃する。
「こ、この技は……まさか!?」
人族部隊の兵士が吹き飛ばされ総崩れになっていく中、その中の一人がこう呟く。それを聞き逃さなかった星峰は
「今の声、明らかに困惑していたわね。いえ、いきなり目の前に敵が現れれば困惑するのは当然、だとすると困惑の理由は……少し失敗したかもしれないわね」
とどこか警戒心を顔に滲ませる。それは何を意味しているのだろうか?その直後
「星峰、指揮官部隊による人族部隊の迎撃は無事此方の勝利で終了した。だから」
「分かっているわ、ここに長居は無用ね。直ぐに戻るわ」
八咫からの連絡を受け、星峰はすぐさま転移妖術で来た道を引き返す。そして戻って早々に
「人族部隊の感じはどうだった?」
と空弧が問いかけてくる。その声は聴くのを楽しみにしている子供の様にも冷静な判断をするために情報として聞こうとしている大人の様にも見える。それに対し星峰は
「少なくとも指揮官からこのルートを使って~と聞いていた風ではなかったわね。だとすると今回の指揮官の戦いはブントに従って戦った訳ではないとは思うわ」
と答える。だがそれを聞いても周囲の面々から以外という様なリアクションは見られなかった。これまでのブントの戦場に比べれば遥かに真剣さがあったにも関わらずである。そこに魔神族指揮官から通信が入ってくる。
「魔王様、人族部隊の迎撃には成功しました」
指揮官は早速この事を話題に出してくる。その顔は少し自信に溢れているのが感じられた。その顔を見て天之御は
「それは此方でも確認したよ。想定外の伏兵が居たという自体を考慮してもよくやってくれたとは思う。だから最初の約束通り、これまでの独自部隊運用については不問にしてあげる」
天之御のその言葉を聞き、指揮官は胸を撫で下ろす。だがそれを見逃さなかった天之御は
「ただし、これはあくまでもこれまでを不問にするというだけであって勝手な運用その物を許すという訳では決して無いからね。その点ははき違えないで」
と釘を刺す様に指揮官に告げる。その発言に指揮官は
「承知しております……」
と言って通信を切る。その顔は納得しつつもどこかしきれていない、そんな雰囲気が感じられた。そして天之御達はそれを見逃さない。
「あの顔……やっぱりそういう魂胆だったのかしらね?」
岬がそう口にすると
「可能性としては十分考えられるわね。そして、だとしたら考えが甘い」
と星峰も続ける。
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