第198話 コンスタリオ小隊の不安

「隊長、どうしたんですか?私達だけで話したいって。議題の見当は付きますが……」


何時になく改まった口調で話すシレット、その口が言う様にシレットとモイスはコンスタリオに言われてここに集まっていた。そしてその議題がワンカーポ陥落にかかわる事であろうことも検討がついていた。


「見当がついているなら話は早いわね。ねえ、二人は今回の陥落、何か引っかかる物は無い?」


シレットの見当が付いているという発言からコンスタリオは早速議題を明示し、それについての意見を求める。


「引っかかる物……確かにワンカーポが幾等戦力や技術力があり、且つスパイが入り込んでいたという事実を差し引いて考えても今回の行動は独断が過ぎるとは思うけどよ……」


モイスはそう口では言う物の、その言葉はらしくない歯切れの悪さがあった。それを察したのか、シレットも


「ええ、はっきりとは言えませんが、何かすっきりしないモヤモヤする物がありますね」


と言葉を続ける。それを聞いたコンスタリオは


「私もなの。何かが腑に落ちない。そしてその落ちない何かがとても重要な物である、そんな気がね」


と二人と同様の引っ掛かりを自身も抱いている事を告げる。


「そもそも、いきなり大陸全土を動かしての決戦を私達に連絡せずに行った。この点が既に功を焦っている様な気がしてならないわ。スパイがいたという事実を差し引いて考えても焦った動きを見せればそれだけ付け入る隙を与える事になるもの」

「その点を分かっていない奴、或いは無視したい奴が今回の独断を引き起こした。そういう事なのかもしれないと言ってしまえばそれまでですが……」

「ワンカーポだけでなく、全部のタウンで同時にそれを認めるか?って疑問も出てくるな」


三人は違和感について思い思いに語る。


「もし、今回のワンカーポの独断の背後に何かがあるのだとしたら、その何かは私達にも忍び寄ってきているのかもしれないわね」


コンスタリオは不意にそう告げる。その内心にはワンカーポから戦力を提供された事があった。それが懸念になっているのだ。


「私達にも忍び寄る?つまり私達も狙われていると言う事ですか?」

「ええ、命を取るという意味ではなく、取り込むという意味でだけどね」


シレットの問いかけに返すコンスタリオ、その言葉は的を得てはいるが、彼女たちがそれを知る由も無かった。


「取り込む……つまり俺達を手駒にしようって事か……嫌な話だな。詳細や正体が見えないだけに否定しきれねえ」

「敵は魔神族だけではないのかもしれないわね。兎に角、今は兵士長達の指示に従う他は無いけど、流され続けるのだけは避けましょう」


モイスの不安に答えつつ、自身の不安にも取り敢えずの決着をつける為に言葉を発するコンスタリオ、その言葉の後三人の会話は終わり、モイスとシレットは自室へと戻っていく。

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