第192話 魔光第二射
「はい、申し訳ございません。そして、ありがとうございました」
そう言うと豊雲は頭を下げ、直ぐ様槍を構えて今攻撃してきた光学迷彩車の場所を特定し槍で操縦席を貫く。空弧もそれに続き
「狐妖術……青飛沫の災い!!」
と言って兵士や兵器の下から勢いよく水を噴出させる。その水に触れた兵器や武装はみるみる錆付いていき、その形を維持出来なくなる。だがこの状況においても尚、彼等の顔に余裕は無かった。フレアバスターの脅威と他の街の交戦状況という二つの気掛かりが常に頭の中に存在しているからだ。だが同時にそれは彼等の足を進ませる原動力にもなっていた。そしてそれは天之御達だけでなく、別方向からブント部隊を攻めている魔神族兵士部隊にも当てはまり、星峰達のような派手な活躍こそしていないものの着実にブント部隊を追い詰めつつあった。
「ええい……流石にこれ以上押し込まれると不利か」
イェニーが呟くその言葉には先程よりも強い焦りが混じっていた。流石に余裕を持ってはいられなくなってきたのだろう。だがこの状況においても尚、周囲の兵士の中に撤退や意見を述べる者は居ない。そればかりかイェニーの先程の指示通り、フレアバスターのエネルギーチャージを行おうとするばかりであった。
「ええい、ここで引き下がっては首相に対して申し訳が立たぬ。作戦を変更してまで魔王に狙いを定めたのだからな」
その呟きが繋がったのか、直後に兵士が
「フレアバスター、連射準備完了!!」
と準備が整った事を告げる。それを聞いたイェニーは焦りの表情を元の表情に戻し
「そうか、ではフレアバスター、照射!!」
と言い、発射指示を出す。するとその言葉通りフレアバスターが放たれる。その標的は星峰達とは違う方向から侵攻する兵士部隊だった。
「!!第二射が来ます、このままでは……」
それに気付いた空弧がそう叫ぶが無情にも赤い魔光は進んでいく。星峰は妖術で飛翔し、先程と同様に白銀の魔鏡で魔光の反射を試みるがそこを狙って別のフレアバスターが放たれる、それは明確に星峰を狙っていた。
「星峰っ!!」
岬がそう叫び、その身を案じるが魔光は既に星峰の目の前に迫っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます