第191話 白熱する決戦

星峰と天之御の活躍により、ブント部隊の総数は開戦当初の三分の二程まで減少していた。そしてそのままの勢いで他の面々も奮闘し、兵士兵器共にさらに数を減らしていく。だがそうしている間にもフレアバスターの第二射が迫りつつあった。


「フレアバスターの発射準備はまだ整わんのか」


後方に控えているイェニーが声を上げる。その声には少し苛立ちが混ざっているのが大きさと話し方から想像出来る。予想以上に戦力を削られているのだろうか。


「はい……エネルギーのチャージにまだ時間がかかっています。一号機が破壊された際の爆発でエネルギーラインにダメージが発生しており、現在修復に時間を要しています」


近くに居た兵士がそう報告するとイェニーは


「ちっ、量産を優先して整備性を後回しにしたのがここで裏目に出るとはな。だが複数を同時に起動させておけば一発目を囮に以降の射撃を直撃させる事も可能だ。ここは数の壁で押さえるか」


と冷静さを若干取り戻した様子を見せ、兵士に指示を出す。その指示を受けた兵士はある者は生身で、またある者は兵器を操って次々と一同の前に立ち塞がる。


「くっ、こいつらは……捨て身でこちらの邪魔をしようというのですか!!まるで自分の意思がない……」


豊雲は苦々しげな顔をしながらもその兵士を槍で貫いていく。その体からは当然血が噴き出るがその血からは生命としての温度を感じることが出来ない。その違和感を拭い去れない故に苦々しい顔を見せているのだ。


「その苦悶は力にして、奴等にぶつけましょう!!鉄拳乱舞」


岬はそう言って豊雲を激励すると拳を握りしめ、加速して次々と兵士の腹部に鉄拳を叩き込む。だがその直後、何処かから砲弾が飛んできて豊雲と岬の近くに着弾し爆発する。二人は間一髪で回避するがその攻撃先は見えない。


「見えない砲撃……光学迷彩車ね。さっきまでいなかったのにそれが出てきたって事は」

「少しずつ追い込んでいると言う事なのでしょうね」


豊雲はそういうと風の流れから光学迷彩車の居場所を割り出し


「風雲の槍!!」


と言って槍を高速回転させて光学迷彩車の乗り込み口を貫く。だが光学迷彩車は一台ではなかったらしく、その直後豊雲目掛けて別の砲弾が飛んでくる。


「くっ!!」


と言って防御態勢をとる豊雲だがそこに


「狐妖術……赤色の着火」


という声と共に火の玉が放たれ、砲弾に直撃して爆発を起こす。そしてそこに空弧が現れ


「豊雲、油断しちゃ駄目よ」


と豊雲を叱責する。

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