第190話 二術の融合

その言葉通り、大陸内の他の街でも交戦が始まり、爆発音が上がり、斬撃音や血飛沫の音が広がり始めていた。その音が聞こえている訳ではないが、天之御達の表情が再び険しい物になる。


「他の街も開戦したという事はつまり、ここで時間をかけていては他のタウンが陥落してしまう可能性がある。戦力の合流は阻止しているから想定より奴等の動きは鈍いとは思うけど……」


空弧がそう呟くと星峰は


「ええ、それでも侵攻を防ぎきれるという保証がある訳じゃない。可能な限りこのエリアの敵を素早く殲滅する必要が出てきたわね……もう出し惜しみはしていられない!!」


星峰はそういうと愛用の剣を取り出し、その剣を強く握りしめる。するとその剣は紫色の光を纏い始める。その光は剣に埋め込まれた宝石から溢れていた。


「星峰、その光は……」


それを見た天之御がそう呟くが星峰はその言葉が耳に入っていないのか全く反応を示さない。そして


「狐妖剣術……百花繚乱の舞」


と言い、剣をブント部隊に向けて振り回して円形の斬撃を次々と放ち、兵士や兵器を倒していく。その散り際はまるで舞い散る花びらの様に宙を舞う。そして斬撃が終わるとブント部隊の四分の一程がその場に倒れ込んでいた。


「星峰……今のは……」


剣の光が消えたのを確認した天之御が改めて星峰に問いかける。すると今度はそれに気づいたのか


「妖術と剣術の融合技です。以前から試してはいたのですが実践で使ったのは今が初めてですね。最も、今の紫の光が何なのか、それは私にも良く分かりませんが……」

「良く分からない?まあ、。今はそれどころじゃないか!!魔王妖術……爆風の昇天」


星峰の解説に一抹の不安を覚える天之御だが、この状況でその事を聞いている余裕が無い事も承知している為、自身も直ちに妖術を使い、ブント部隊を吹き飛ばし打ち上げる。

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