第185話 空弧の心境

「……やっぱり、貴方に隠し事は出来ないわね……」


俯いたまま少し低い声で空弧はそう呟く。如何やら不安なのは本当の様だ。


「実を言えば作戦の度、何時も不安なの。天之御様が又無茶をするんじゃないかって……」


だがその不安は今に始まった事では無く、ずっと内心で抱えていた物だった。遠回しではあるが空弧はそう発言する。


「又無茶をする?それはどういう……」


その言葉が引っ掛かった星峰が訪ねるが空弧は反応を見せない。その様子を見て


「話したくない事、或いは離せないデリケートな事なのね。なら無理に話してくれなくてもいいわ。話したくなったら話してくれればいい」


と星峰は告げる。


「……有難う、そして御免なさい。じゃ、部屋に戻るわ」


空弧はそういうと立ち上がり、星峰の部屋から出て自分の部屋への帰路に着く、この様子を見た星峰は


「あの様子……単に上司を心配する部下と言う雰囲気ではないわね。天之御と空弧には個人的な何らかの接点があるのかしら?戦場において支障をきたす程でなければいいのだけど……」


と推測と共に懸念を口に出す。

そして時間は流れ、運命の二日後が迫る。二日後の朝、星峰が何時もの様に目覚めるとその瞬間に警報が鳴り始める。


「警報!!と言う事は」


事態を察したのか、星峰は衣服を着替え、大急ぎで謁見の間に向かう。そして謁見の間に入るとほぼ同時に他の面々も入ってきて正面には険しい顔の天之御が居た。


「天之御様!!この警報とそのお顔は遂に……」

「ああ、ブントの部隊が展開を開始した」


豊雲が問いかけると天之御は予想通りの返答をし、妖術で地図を出現させてその上に勢力図を表示する。

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