第138話 暴かれた迷彩

先陣を切って走った星峰と空弧はある場所に着くとそれぞれ


「斬月刃」


と叫び、手に持った剣から黒くい半月状の斬撃を放つ。一見するとただ空を切っているだけに見える斬撃だったがその直後その斬撃は途絶え、光学迷彩で隠れていたブントの移動砲撃車が姿を現す。星峰の放った斬撃はそのまま迷彩車を行動不能にするが空弧の放った斬撃は移動車をあぶりだす事には成功するものの、行動不能にするまでには至らない。光学迷彩が切れたとはいえ動く砲撃車に対し


「狐妖術…漆雨の拘束!!」


と続けて妖術を使い、移動車の周囲に黒い雨を降らせ、その雨を纏わり着かせて乗っている兵士共々動けなくする。一方、星峰は動けなくした移動車からの脱出を図る兵士を次々と格闘戦でいなし、その意識を失わせる。


「後残るは…」


そういうと星峰と空弧は再び走り、暫く行った所で今度は星峰は剣を振るい、空弧は


「狐妖術…白の波動!!」


と言って手から白い球体を放つ。そしてそれぞれの放った攻撃はその先で再びび光学迷彩で隠れていた迷彩車を直撃し、その行動を不能にする。そのまま二人は動きを止めた迷彩車の中に乗り込む。


「な、何故だ!!何故こちらの場所が分かった?」


困惑する兵士に空弧は


「知りたいなら捕虜になりなさい!!そうすれば牢屋の中で教えてあげるわ!!」


と切り返す。それを聞いた兵士が


「ええい、舐めるな!!」


と言って格闘戦に持ち込もうとすると空弧は大振りに剣を振り回し、兵士の足を切りつけて動けなくする。


「くっ…」


そういった兵士が足を抱えると空弧は車の外に脱出し


「狐妖術…紫苑の出入り!!」


と言って紫の球体で車を包み、そのまま何処かへと飛ばす。そしてその直後


「やはり慣れない事は訓練が必要ね…加減が上手く出来ないわ…」


と若干自虐気味に呟くのであった。一方、星峰も車の中に入り兵士と対峙していた。


「お前は…何故俺達に牙を向く!?ブエルスの一件の真相は此方も知っている、それが真実ならば…」


そう兵士が告げると星峰は


「真実ね…、その言葉を都合よく歪めているのは誰なのかしらね!!」


と言い、四本の尻尾を鞭の様にしならせて兵士を叩き気を失わせる。


「ふふっ、この体にも少しずつ馴染んできたかな?」


空弧とは対照的な発言をすると星峰は操縦席近くの機械を操作し、何かの作業を行う。

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